2005 Fiscal Year Annual Research Report
DNAチップを利用したトリクロロエチレンによる健康障害発生の種差の評価法
Project/Area Number |
16590483
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中島 宏 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80217710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大前 和幸 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (60118924)
武林 亨 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (30265780)
佐野 有理 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20338023)
吉岡 範幸 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70365229)
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Keywords | トキシコゲノミックス / トリクロロエチレン / 種差 / 外挿 / リスクアセスメント |
Research Abstract |
平成17年度は、NPO法人HAB研究機構より、3回のヒト肝細胞の供給を受けた。本課題に先立ち、マウス、ラットの初代培養肝細胞を用いて、2濃度でトリクロロエチレン(以下、TCE)に曝露、曝露後2つの時点で肝細胞からmRNAを抽出、DNAチップにハイブリダイゼーションし、遺伝子発現プロファイルを得た。n数は、各々の濃度・時点について4である。ヒト肝細胞についても、同様にTCE曝露実験を行い、発現プロファイルを得ている。実験は肝細胞の状態を観察しながら行っているが、細胞の状態により、実験を継続してもげっ歯類との相互比較性が期待できず、途中で実験を中止せざるを得ない場合も多く、発現プロファイルを得るに至ったものは、平成16年度に供給を受けたものを併せても、残念ながら3に留まっている。有意に変化した遺伝子のプローブを選択するのに使用しているベイズの定理では、n=4が最低条件であるため、ヒトでもn=4となったところで、解析を行う予定である。マウスとラットを明らかに判別する遺伝子を数学的に選別するよりも、遺伝子の機能によって種差を判別する遺伝子を選別する方が、より確からしいという観点に立ち、in vitro実験に先立って行ったin vivo実験(1500mg/kg体重のTCEをマウス及びラットに経口投与)で得られた遺伝子発現プロファイルに対して、Gene Ontologyやパスウェイによって遺伝子の機能別解析を行ない、マウスとラットにおけるTCE曝露による生体反応の種特異的な遺伝子を選別した。解析の際には、これらの種特異的遺伝子を用いて、SVMs (support vector machines)といったsupervised learning methodでヒトの遺伝子発現レベルでの生体反応が、マウスとラットのどちらにより近いかの予測をし、その妥当性についての検証を進める予定である。
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