2004 Fiscal Year Annual Research Report
珪肺症症例における末梢血Regulatory T cellの変化と機能解析
Project/Area Number |
16590491
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Research Institution | Kawasaki Medical School |
Principal Investigator |
兵藤 文則 川崎医科大学, 医学部, 講師 (80069070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 剛巳 川崎医科大学, 医学部, 教授 (40160551)
高田 晶子 川崎医科大学, 医学部, 助手 (30278957)
三浦 由恵 川崎医科大学, 医学部, 助手 (00388935)
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Keywords | 珪肺症 / 免疫異常 / 自己抗体 / 自己反応性T細胞 / 自己免疫疾患 / 抗核抗体 / 制御性T細胞 / 末梢血単核細胞 |
Research Abstract |
珪肺症の合併症として、自己抗体の出現などの免疫異常が頻度高く報告されている。我々は、この免疫異常の機序の解明を試みている。近年、自己反応性T cellの活性化を抑制していると考えられているCD4^+CD25^<+high> Regulatory T cell(制御性T細胞:Treg)の存在がヒトでも確認され、その数的減少や機能的異常が自己寛容破綻を促す可能性が示唆されている。今年度は、自己免疫疾患で高頻度に出現する抗核抗体(ANA)が珪肺症症例(症例)で出現するかを検討した上で、症例におけるTreg分画のCD4^+T細胞中の比率の変化を解析した。インフォームド・コンセントを得て給与された健常人50例(平均年齢59.7歳)と症例55例(平均年齢72.8歳)の血清、抹消血単核細胞を用いた。その結果、ANAの陽性率、平均Index値は、症例で健常人と比べ有意な高値を示し、症例における免疫異常の惹起が確認された。次に、Treg分画の比率を健常人と症例で比較した。その結果、有意な差は認められなかった。しかし、年齢とTreg分画比率に着目してみると、健常人で認められた有意な正の相関が、症例では消失していた。そこで、健常人での年齢とTregの比率との回帰直線の式を用いて、症例でのTregの比率の予測値を求めたところ、有意に実測値より高値が示された。この事は、症例では、年齢に適合したTreg細胞の増加が生じていないことを、換言すれば、Treg細胞の相対的不足が免疫異常を惹起している可能性を示唆している。今後、惹起された免疫異常とこのTreg分画の機能的側面およびTreg細胞に特異的に発現しているとされているFOXP3発現を含めてさらに検討していきたい。
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Research Products
(5 results)