2005 Fiscal Year Annual Research Report
肺癌細胞が産生するチトクロームP450代謝酵素の検出による肺癌早期発見法の開発
Project/Area Number |
16590492
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
小山 倫浩 産業医科大学, 医学部, 助教授 (00309965)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川本 俊弘 産業医科大学, 医学部, 教授 (60177748)
杉尾 賢二 産業医科大学, 医学部, 助教授 (70235927)
一瀬 豊日 産業医科大学, 医学部, 助手 (80341494)
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Keywords | lung cancer / CytochromeP450 / tumor marker |
Research Abstract |
【背景と目的】チトクロームP450代謝酵素(CYP)はステロイドなどの内因性化学物質の合成・分解や外因性化学物質の代謝・排泄に関与し、薬物代謝の主な経路を担っている。CYPは肝臓などの正常臓器のみならず肺癌でも発現していることが指摘されている。しかし、肺癌中のCYP発現に関して系統的な研究は報告されておらず、肺癌中のCYP発現に関して社会的・医学的に応用されていない。今回、肺癌中のCYP発現を明らかにし、肺癌中にCYPが発現することを応用して、肺癌を早期に診断する方法を開発する。 【対象と方法】(1)約100例の肺癌切除例を対象としてHE染色と、CYP3A、CYP2E1、CYP2A6の免疫組織化学染色を行い臨床病理学的に検討する。(2)臨床病理学的に検討した症例のうち、約20例の肺癌凍結標本からチトクローム分画を抽出して、ウエスタンブロッティング法によりCYP発現を検出する。(3)臨床病理学的に検討した症例のうち、約20例の肺癌凍結標本からmRNAを抽出し、RNAレベルのCYP発現量の検出を行う。 【結果】(1)CYP発現は扁平上皮癌で認められず、腺癌におけるCYP2A6・CYP3A陽性率はそれぞれ45.8%(22/48)、39.6%(19/48)であった。II-IV期腺癌のCYP3A陽性率17.9%(5/28)に比べI期腺癌のCYP3A陽性率は70.0%(14/20)・60.0%(12/20)と有意に高値を示し、低分化腺癌のCYP3A陽性率7.1%(1/14)に比べ中分化・高分化腺癌のCYP3A陽性率は52.9%(18/34)・と有意に高値を示した。また、腺癌患者においてCYP2A6発現とCYP3A発現の間には明かな正の相関関係は認めなかった。(2)4例の肺癌凍結標本からチトクローム分画を抽出して、ウエスタンブロッティング法によりCYP発現を検出した。(3)4例の肺癌凍結標本からmRNAを抽出し、RNAレベルのCYP発現量の検出を行った。現在、(2)(3)の結果と免疫組織化学染色結果と比較検討中である。
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