2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16590493
|
Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
長友 寛子 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助手 (10369077)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 泰夫 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (30258628)
廣橋 雅美 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教務職員 (50389475)
|
Keywords | 吸入曝露物質 / 肺傷害 / 酸化ストレス / ヘムオキシゲナーゼー1 |
Research Abstract |
本年度は結晶質シリカ、アスベスト(クリソタイル)、新規物質であるチタン酸繊維や二酸化チタン等(陰性コントロール)をラットに気管内注入し、3日、7日、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の観察期間をおき解剖を行った。ラット肺における酸化ストレスに対する防御因子である、ヘムオキゲナーゼー1(HO-1)遺伝子の蛋白発現において、肺に不可逆性変化をきたした結晶質シリカやアスベストにおいてはその発現は全期間において有意に亢進しており、一方可逆性の変化をきたした新規物質や二酸化チタンにおいては亢進を認めなかった。 HO-1のmRNA発現においては、結晶質シリカやアスベスト注入により早期では変化なく慢性期においては著明な発現亢進を認めた。一方、二酸化チタン注入においては早期で低下し慢性期では軽度増加をきたすのみであった。肺に可逆性または不可逆性の変化をきたす物質では異なる発現変化の動きを示した。 試験管内試験においては、新規物質や二酸化チタン等でHO-1蛋白の発現変化なく、アスベスト曝露により曝露濃度依存性、時間依存性にHO-1蛋白の発現亢進を認めた。 ヒトの肺組織では、正常肺組織、じん肺の肺組織何れもHO-1陽性細胞を多数認め差は認められなかった。 以上よりHO-1遺伝子は動物実験、及び試験管内試験において、肺に不可逆性、可逆性の変化をきたす吸入物質では異なる発現変化を示し、粉じん曝露による肺傷害の程度を判定しうるバイオマーカーになると考える。しかしヒトの肺組織や喀痰においては今後の検討課題である。
|
Research Products
(3 results)