2006 Fiscal Year Annual Research Report

カーボンナノチューブの気管内注入によるラット肺への経時的生体影響に関する研究

Research Project

Project/Area Number	16590494
Research Institution	University of Occupational and Environmental Health, Japan
Principal Investigator	大神明産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助教授 (40301692)
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha)	田中勇武産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (00038035) 森本泰夫産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教授 (30258628) 大薮貴子産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助手 (20320369) 村上昌宏産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助手 (60373156) 廣橋雅美産業医科大学, 産業生態科学研究所, 教務職員 (50389475)
Keywords	ナノ粒子 / カーボンナノチューブ / 気管内注入 / 気管支肺胞洗浄液 / カーボングラファイト / 肺線維化 / 肺癌
Research Abstract	本研究は、カーボングラファイトとカーボンナノチューブの2種類の材料を用いて、ラットに気管内注入後、短期間(6ヶ月)あるいは長期間(2年)比較検討を行い、その肺毒性を中心とした生体影響について明らかにすることを目的としている。本年度はラットにカーボンナノチューブを単回気管内注入し肺毒性について検討を行った。カーボンナノチューブは、0.04mg、0.4mlの0.5% Triton X加生理食塩水に懸濁させ、ソニケーションを十分にかけた後に、8週齢のWistar系雄性ラットに30匹ずつ、陽性対照として結晶質シリカ(粒径0.8μm)と対照群(0.5% Triton X加生理食塩水のみ注入)を含め計90匹に注入した。解剖は、注入後3日、1週、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月の各タイムポイントで行った。解剖時に、片肺より気管支肺胞洗浄(BAL)液、心臓血、肺組織(BALを行わない方の肺)を採取し、BAL液中の炎症細胞数と分画、血中の好中球数や白血球分画、など指標について比較検討を行った。肺組織については、パラフィンブロックを作成した後、HE染色やワンギーソン染色を行い、標本をコンピューター上で画像として取り込んだ後にポイントカウンティング法にて半定量的に解析を行った。BALF中の白血球数は観察期間中は注入後3日を除き対照群と有意差は見られなかったが、BALF中のPMN%は注入後3日目と3ヶ月後よりカーボンナノチューブ群とシリカ注入群で有意差が認められた。組織のポイントカウンティングによる」結果では、注入後3ヶ月までの観察期間では炎症度について結晶質シリカも含め有意な差は認められなかった。