2006 Fiscal Year Annual Research Report
療養型病床群・精神病院における疥癬の予防対策の確立に関する研究
Project/Area Number |
16590506
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
牧上 久仁子 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (90238882)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安村 誠司 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50220158)
石井 則久 国立感染症研究所, ハンセン病研究センター・生体防御部, 部長 (50159670)
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Keywords | 疥癬 / 院内感染 / 感染予防 / 精神科病院 / 療養病床 |
Research Abstract |
本年度はH16年度末に実施したアンケート調査結果の追加分析を行い,後述のテーマに沿って疥癬発生施設のフィールド調査を実施した. 1)アンケートの追加分析 調査のデータを多変量解析法で分析し,院内感染発生および,院内での感染拡大に関わるリスク要因について検討した.その結果,院内感染発生は,他施設からの転院患者より院内に持ち込まれて発生していることが示唆された. 2)疥癬再発に関するリスク要因に関する調査 再発の頻度リスク要因について知ることは疥癬の効果的な院内感染制御のために必要不可欠と考え、調査を行った。昨年度から調査に協力頂いているA病院(約300床)で過去42ヶ月間に感染症対策委員会に報告された疥癬患者153名の診療記録を閲覧し,ヒゼンダニへの曝露状況,宿主側感受性と関連が考えられる因子,治療および転帰情報をデータベース化し,分析した.その結果,延べ233名(患者228,職員5)が疥癬に罹患していた.複数回罹患した患者は47名であった.職員には複数回罹患者はいなかった,病棟間で疥癬患者数・複数回罹患者数に差がみられた.総リンパ球数が少ないことが再発と有意に関連が認められた,年齢,性別,BMI、血清蛋白,経管栄養,俳徊等の問題行動,糖尿病ステロイド使用は再発と有意な関連が認められなかった. 3)院内感染のコミュニティへの拡大に関する調査 保育園での集団感染事例の調査を行った.乳児クラスの過半数が疥癬に罹患した.地元自治体の協力のもと,保育環境および手順を観察し,罹患児童の保護者および職員に対する聞き取りを実施し,集団感染の概要を把握した.本事例で感染源となった職員は、医療機関職員を家族に持っており、医療機関で起こった集団感染からの波及が疑われた.疥癬の院内感染がコミュニティに拡大するリスクが存在すること,集団の特徴に合わせた対策が必要であることが示唆された.
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