2005 Fiscal Year Annual Research Report
和歌山県における筋萎縮性側索硬化症の疫学的前向き研究
Project/Area Number |
16590511
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
紀平 為子 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (30225015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 一郎 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (40364088)
森田 修平 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (50372868)
三輪 英人 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (50231626)
近藤 智善 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (50103891)
宇都宮 洋才 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60264876)
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Keywords | 筋萎縮生側索硬化症 / QOL / 危険因子 / 微量元素 / 発症頻度 |
Research Abstract |
(1)H17年度の研究計画と実績 和歌山県でのALSの病因的環境因子と予後関連要因に関する前向き研究を実施し以下の結果を得た。 1)和歌山県内のALS患者と介護担当者に平成17年2月から5月にかけてQOLに関するアンケート調査を実施した。17年度は特定疾患調査研究費受給者票を持つALS患者86名と介護者86名を対象に、保健所からアンケート用紙を送付した。調査票の回答は自記可能な場合は郵便で返送とし、自記不可能な場合は介護者または保健師による聞き取り調査を行った。検査バッテリーはALSAQ-40を使用した。調査票回収数42名であった。結果は通院患者35.3%,入院患者29.4%,在宅患者35.3%であった。病名告知の際に支援団体についての情報説明があったと答えた者37%,なかったと回答した者63%,診断方法や進め方が満足と回答した者24%,説明が少なすぎたと回答した者22%,治る見込みがないという気持ちになったと答えた者70%,精神的な配慮が全くなかったと答えた者14%などの回答が得られた。経管栄養実施している者41%,呼吸補助機械を使用している者11%,気管切開施行している者44%であった。医師の診察に不満と回答した者21%,少しは満足している39%,満足39%であった。介護者への調査では、介護者が正社員8.3%,介護のために退職39%,介護者の数が一人59%,2人19%,介護サービスを受けている66%,受けていない34%との回答を得た。患者では告知時に心理的配慮や支援の情報が不足しているとの意見が重要と考えられた。介護者では仕事をやめたり、就業時間を減らしたなど生活に大きな影響が考えられた。今後支援体制を考えるためにさらに経時的に調査する必要がある。 2)環境要因調査として防御機構の検索を目的として微量元素測定(有害金属、防御作用を有する元素)を行った。和歌山県南部地域(古座町,古座川町)と非多発地である和歌山県山間部の花園村において住民検診の際に食習慣と生活習慣につきアンケート調査を行った。食習慣の調査では、多発地住民では非多発地住民に比し、糖質摂取量、糖質摂取割合が有意に高く、亜鉛摂取量および脂肪摂取割合が有意に低かった.生活習慣調査では多発地では子供の頃に水道水の利用が低い傾向を認めた。さらに血中Ca, Mg, Cu, Zn、およびアルブミン濃度を測定した。結果、多発地住民では特に男性でCa摂取量は多いにもかかわらず血中Caおよびアルブミン濃度が有意に低値を示した。多発地の高齢者ではMgの低値を認めた。血中亜鉛含量は男性では有意差を認めなかったが多発地女性では高値を認めた。多発地では血中Ca、Mg、アルブミン低値とZn高値が特徴で、必須元素の慢性的不足状態の存在が推察された。 これら多発地の特徴が、ALS発症あるいは増悪要因としてどのように関連するか今後さらに検討する必要がある。
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Research Products
(2 results)