2004 Fiscal Year Annual Research Report
大規模長期縦断研究による児童の呼吸器症状に対する自動車排ガス汚染の影響評価
Project/Area Number |
16590524
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
由良 晶子 近畿大学, 医学部, 助手 (80142595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 忠彦 近畿大学, 名誉教授 (00088519)
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Keywords | 咳 / 有訴者率 / 児童 / 二酸化窒素 / 自動車排ガス / 大気汚染 |
Research Abstract |
大阪府の全公立小学校児童を対象とした自覚症状調査「大阪府こどもの健康調査」の1997年、2000年および2003年の調査結果を用いて、児童の「咳」有訴者率と自動車排ガス汚染との関連を横断的および時系列的に解析した。調査項目の「家の近くは昼も夜も自動車がたくさん通る」(以下「自動車交通量が多い」)の市区町村別該当者率は、「咳」有訴者率と有意に相関していた(r=0.66〜0.71,p<0.001)。抽出校の個人調査票データによる、学年、地域、家庭内喫煙等児童の生活環境要因を調整したロジスティック回帰分析でも、「自動車交通量が多い」の「咳」症状に対するオッズ比は1.33〜1.63(p<0.001)であった。「自動車交通量が多い」の該当者率は1997年から2000年、2003年へと漸次減少し、それと期を同じくして大気中二酸化窒素(NO_2)濃度も低下してきた。横断調査では大気汚染以外の要因の影響が入るため、市区町村別の「咳」有訴者率と「自動車交通量が多い」該当者率の1997年から2000年または2003年への年次差間の関連をみると、いずれも有意な相関がみられた(r=0.32,p<0.01)。大気汚染観測局周辺校の「自動車交通量が多い」該当者率とNO_2測定値とは有意な高い相関(r=0.70〜0.76,p<0.001)があることから、「自動車交通量が多い」該当者率とNO_2測定値の回帰式が得られる。これと上記の「咳」有訴者率と「自動車交通量が多い」該当者率との回帰式から、「咳」有訴者率(%)は、y=0.334x-0.592(x:NO_2年平均値の調査前3年間の平均値ppb)の式が得られた。大気汚染の影響がほとんどないと考えられる山間農村地域の有訴者率を咳症状の基礎率とみなすと、NO_2の影響の下限値は0.028ppmと試算された。次年度はさらに要因の調整を加えてモデル式を修正する。
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