2005 Fiscal Year Annual Research Report
血清エンドセリン1と早期臓器障害との関連-一般住民検診における疫学的検討-
Project/Area Number |
16590526
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
平井 祐治 久留米大学, 医学部, 助手 (70309780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足達 寿 久留米大学, 医学部, 助教授 (40212518)
榎本 美佳 久留米大学, 医学部, 助手 (10360281)
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Keywords | エンドセリン-1 / 腎機能障害 / 疫学的研究 / 喫煙 / 糸球体濾過率 |
Research Abstract |
エンドセリン-1(ET-1)は、血管内皮由来の強力な血管収縮作用を持つペプチドであるが、血漿ET-1に関しては不明な点が多い。我々は最近、血漿ET-1は血圧とではなく、早期腎障害および喫煙習慣と相関することを一般住民検診の結果から明らかにした(Hirai Y, et al. J Hypertens,2004)。我々は詳細に血漿ET-1と腎機能、高血圧との関係を調べることで、血漿ET-1が腎機能のマーカーとして有用であるか否かを大規模な疫学的研究で明らかにすることを試みた。対象は1999年に福岡県久留米市田主丸町で行った40歳以上の一般住民検診受診者のうち、早朝空腹時に採血が可能であった男性584名、女性866名、合計1450名である。ET-1はRIA法で測定し、血圧は臥位で2回測定し、2回目の血圧を分析に用いた。ET-1の平均値は男性で4.93±1.73pg/ml女性で4.84±1.54pg/mlと男女差はなかった。Cockcroft-Gaultの計算式を用いて糸球体濾過率(GFR)の平均値を計算したところ、男性で69.9±20.7ml/分、女性で65.3±18.6ml/分であった。血漿ET-1と糸球体濾過率は有意な強い負の関連(p<0.001)を示し、ET-1と強い正の関連を有する年齢で補正した偏相関でも、その関連は変わらなかった(P<0.001)。GFRを人数が同じ(n=290)になるように5分割し、基本変量である年齢、性に加え、ET-1と有意な関連を持つ喫煙習慣を共変量とした共分散分析を行ったところ、GFRが上昇するにつれて、血漿ET-1が低下する有意なトレンドを示した。一般住民検診では、血清クレアチニンの測定は簡易であるが、信頼性に乏しく、蓄尿によるクレアチニンクリアランスやGFRは測定が面倒であるというデメリットがある。血漿ET-1は1回の採血で腎機能障害の有力な指標となり得ることが示された。
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