2005 Fiscal Year Annual Research Report
向精神薬の免疫学的簡易検出システムの開発と法医中毒学への応用
Project/Area Number |
16590542
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
恒成 茂行 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (80040202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米満 孝聖 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助教授 (10128332)
是枝 亜子 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 助手 (80284751)
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Keywords | 向精神薬 / フルボキサミン / 簡易検出システム / 抗薬物抗体 |
Research Abstract |
新規抗うつ薬フルボキサミン(FLV)とミルナシプラン、抗精神病薬(フェノチアジン類)の免疫学的簡易検出システムを開発するため、平成17年度は以下の研究を行った。 1)モノクローナル抗体の作成 平成16年度に調製した各薬物とウシ血清アルブミン(BSA)の複合体(免疫抗原)をマウスに皮内投与した。少量採血して各薬物に対する抗体価の上昇を確認した。その結果、FLVに対する抗体価の上昇は認められたが、その他の薬物に対する抗体価の上昇は認められなかった。調製した免疫抗原の抗原性が低いことが考えられたため、新たな免疫抗原の調製を進めている。 FLVについては、抗体価の上昇を確認したマウスの脾臓から常法に従って抗FLVモノクローナル抗体産生ハイブリドーマを作成した。これを無血清培地中で大量培養して培養上清(粗抗体溶液)を回収した。 2)抗体の精製 1)の培養上清からアフィニティークロマトグラフィーにて精製抗FLVモノクローナル抗体(MF124)を得た。MF124はFLVと高い親和性を持ち、その他の向精神薬との交差反応は極めて弱いことを確認した。 3)簡易検出システムの考案 MF124とDAKO EnVision+^【○!R】キット/HRP(EV)を用いて、ドットブロット法によるFLV検出システムを考案した。予めMF124とEVを反応させた試薬(MF124-EV)を調製し、それを試料溶液と反応させる。ついで、これに0.1μgBSA-FLVを固相化したニトロセルロース(NC)膜を浸漬して反応させる。最後に、NC膜をジアミノベンジジン溶液と反応させる。試料溶液中にFLVが存在しない時、MF124-EVと固相化抗原BSA-FLVが反応して固相化部が発色する。一方、FLVが存在するとMF124-EVの抗原認識部位は試料中FLVと反応して、固相化部が発色しない。この方法を用いて試料中FLVの検出可能濃度を検討した結果、1μg/ml以上のFLVを検出できることが示された。本法は尿を試料としたFLVの検出法として有用である。
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