2004 Fiscal Year Annual Research Report
死体温・環境温連続モニタリングシステムの構築およびその検視業務への導入
Project/Area Number |
16590544
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金武 潤 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (90326661)
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Keywords | 死後経過時間 / 直腸温 / 環境温 / 法医解剖 / 検視 / 異状死体 / 刑事訴訟法 / 連続モニタリング |
Research Abstract |
実験計画に基づき、(1)小型温度データロガ挿入補助具の作製、(2)小型温度データロガの配布および現場係官と対象とした技術指導、(3)協力機関(宮城県警本部)実務担当者との検討会議、(4)直腸温および環境温連続モニタリングの運用実験を行った。 (1)当初データロガ自体の改造を検討したが、温度特性を保ったまま形状等の変更等を加えることは困難であることが明らかとなったため、直腸内挿入用についてはゴムで包む方式を採用した。また、環境温用はホルダーに装着し輪ゴムで足首に固定する方法を採用した。 (2)宮城県下25警察署に過去3年分の剖検数を参考にして各署に4〜8個配布した。現場係官代表を対象とした説明会を開催し、操作法の徹底をはかった。同時に実験計画説明書および簡易マニュアル(霊安室常備用)を作成し、配布した。また警察医の協力を仰ぐため宮城県警察医会研修会においてプレゼンテーションを行った。 (3)検討会議を配布・技術指導前、運用実験前、運用実験中の計3回実施した。現場係官の混乱を避けるために、対象を明らかな腐敗死体・焼損死体を除くすべての死体とした。また現場係官は挿入操作および簡易な調査票への記入のみを行い、それ以外の操作は執刀医が行うこととした。 (4)平成16年7月より運用実験を開始した。11月までを試験期間とし、その間に生じた問題点を解決し、その後本実験に移行した。本実験は平成17年11月まで実施し、1年を通した運用結果が得られる予定である。申請者が検視に参加した場合には、比較検討のため従来法も併用して測定を行った。 現在運用実験施行中であるが、本法による直腸温連続モニタリングは他の検視業務に影響を与えることなく、実施可能かつ有用であることが示唆されている。実務上も強盗殺人事例における死亡時刻の推定、凍死事例における死因判断等において有益な証拠となった。
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