2005 Fiscal Year Annual Research Report
死体温・環境温連続モニタリングシステムの構築およびその検視業務への導入
Project/Area Number |
16590544
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
金武 潤 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (90326661)
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Keywords | 死後経過時間 / 死体温 / 直腸温 / 環境温 / 連続モニタリング / 法医解剖 / 検視 / 鑑定 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、検視業務における直腸温・環境温連続モニタリングの運用実験を行った。期間中に225件の剖検が施行されたが、うち97件でモニタリング実験が行われた。 対象は宮城県警察刑事部取扱死体のうち、解剖施行が明らかあるいは実施が決定した全ての死体で、焼死体および明らかな腐敗死体は除外していたが、焼死体・腐敗死体についても実施される傾向があった。一方、明らかな適応例でありながら、実施されなかったものが1事件(2死体)あった。これは取扱者に対する連絡の不徹底が原因であり、現場係官に対する説明会の実施方法および説明書の内容に改善の余地があるものと考えられた。本モニタリングが他の検視業務に支障を来した例はなく、本法が当初の予測通り、検視業務に導入可能かつ有用であることが実証された。宮城県での成功例をもとに全国規模での運用も可能であると考えられた。 連続データの特性を生かした新たな推算アルゴリズムの開発が望まれるが、本法の連続データから特異点を除去し、そこから抽出したデータを従来の2点法に代入するだけでも有効であった。従って、本法の採用がより正確かつ信頼性の高い推算に結びつくと考えられ、実際の鑑定でも採用した。分解能は0.5℃であることから、推算アルゴリズムの開発に必要な詳細なデータ解析には至らなかったが、一部の事例について分解能0.0625℃の試作品を適用したところ、推算アルゴリズムの開発および短時間での推算に結びつくものと考えられた。また、一部の事例で挿入深度が浅く、外部環境の影響を受けていたことから、誰でも確実に挿入可能かつ一端挿入された後は直腸内での位置移動がないデバイスの形状等について検討する必要があり、今後の課題となる。
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