2004 Fiscal Year Annual Research Report
脳虚血による神経細胞障害に対する和漢薬の保護作用とその制御機構
Project/Area Number |
16590556
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Research Institution | Toyama Medical and Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
嶋田 豊 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (80251891)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 博三 富山医科薬科大学, 和漢薬研究所, 助教授 (40313598)
引網 宏彰 富山医科薬科大学, 附属病院, 講師 (70345586)
関矢 信康 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (40345575)
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Keywords | 漢方薬 / 釣藤散 / 釣藤鈎 / 一過性脳虚血 / 神経保護作用 / 一酸化窒素 / フリーラジカル / 抗酸化酵素 |
Research Abstract |
本研究の目的は、脳虚血による神経細胞障害に対する和漢薬(漢方薬)の保護作用とその作用機構をin vivoの基礎研究によって明らかにすることである。スナネズミ一過性脳虚血モデルを用いて、漢方方剤である釣藤散あるいはその主要構成生薬である釣藤鈎の経口投与の海馬CA1領域の錐体細胞の遅発性神経細胞死に対する効果、脳虚血後の海馬及び皮質における過酸化脂質(LPO)、一酸化窒素(NO)代謝物、スーパーオキサイド(O_2^<-・>)とヒドロキシルラジカル(HO^・)消去活性、ならびに抗酸化酵素活性に及ぼす効果について検討した。釣藤散あるいは釣藤鈎は虚血7日前から、最長で7日後まで投与した。その結果、釣藤散あるいは釣藤鈎の経口投与は、虚血7日後の海馬CA1領域の錐体細胞の遅発性神経細胞死を抑制した。また両者とも、虚血48時間後の海馬におけるLPOとNO代謝物の生成を抑制した。虚血を行わない実験で、釣藤散あるいは釣藤鈎の経口投与は、海馬及び皮質ともにO_2^<-・>及びHO^・の消去活性を増強し、虚血後でも3時間後と7日後において海馬及び皮質ともにO_2^<-・>及びHO^・の消去活性を増強した。抗酸化酵素活性については、スーパーオキサイドディスムターゼ(SOD)、カタラーゼ(CAT)及びグルタチオンパーオキシダーゼ(GSH-Px)を測定した。虚血を行わない実験では、海馬及び皮質ともにCAT活性が上昇したが、SOD及びGSH-Px活性は変化がなかった。虚血彼のCAT活性は、釣藤散投与によって海馬では7日後、皮質では3時間後に、釣藤鈎投与では海馬及び皮質ともに3時間後と7日後に増強を認めた。以上の成績より、スナネズミ一過性脳虚血モデルにおいて、釣藤散あるいは釣藤鈎の経口投与は遅発性神経細胞死に対して保護作用を有し、その機序の一つとして脳内のCAT活性の増強を介する抗酸化作用の関与が示唆された。
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Research Products
(2 results)