2005 Fiscal Year Annual Research Report
面接時の受診者(クライエント)と医療者の身体姿勢に関する行動学的研究
Project/Area Number |
16590560
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Research Institution | Niigata College of Nursing |
Principal Investigator |
吉山 直樹 新潟県立看護大学, 看護学部, 教授 (30092448)
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Keywords | 面接姿勢 / 行動学的研究 / 外来診察 / アイコンタクト / 左抱き / 右抱き / 中抱き(対面抱き) |
Research Abstract |
平成16年から18年まで満2年間にわたる研究成果の要約を記した. (1)対象者:a.4週に1回の頻度で外来通院している病状安定した生活習慣病(高血圧/糖尿病)患者を対象とする.対象選択の条件として自立歩行でき,聴力低下や痴呆がない40〜90歳の患者とした.b.生活実態基本調査のため,面接を受ける大学生.(2)研究方法:a.同意を得た外来患者の調査項目として,診察室入室時の患者の椅子への座り方,アイコンタクト,血圧測定時の姿勢,背部診察の際の身体の回転方向,退去時の方向,等の他,診察時の画像記録を分析対象とした.診察時の映像記録についてはDVカメラとMPEG-4準拠DivXフォーマットの動画撮影が可能なデジタル・カメラを使用した.DVカメラによる動画は事後にMPEG-2化処理をおこなった.可能な限り同一患者につき2回以上の観察結果を分析対象とした.b.大学生に対しては,模擬乳児を準備し,自然に抱かせて観察結果を従来の報告と比較した.(3)研究結果:a.次のような傾向がみられる.(1)右側から着席する患者が多いが入室方向と椅子との位置関係が寄与している.(2)アイコンタクトは半数以下で少ない.(3)血圧測定は右腕優位である.(4)背部診察時の回転方向は左回り回転が多い.(5)診察室からの退去方向は右方向からが多い.左回りの動作や左側に置かれた血圧計に右腕を出すのは不自由なはずであるが,無意識な行動となっている.映像観察で始めて気がついたのは,入室時にアイコンタクトしない方は外来スペース全体を眼球の動きだけで見渡していることであった.b.入学直後の1年生は,左抱き94名中47名(50.0%),右抱き45名(47.9%),中抱き(対面抱き)2名(2.1%)であった.2年生は,左抱き90名59名(65.6%),右抱き29名(32.2%),中抱き(対面抱き)2名(2.2%)であった.さらに同一1年生を1年後に調べたら,左抱き84名中54名(64.3%),右抱き29名(34.5%),中抱き1名(1.2%)であった.1年生と2年生では,際だった差がみられ,その変化は入学後に生じている.(4)考察:「左抱き」は環境の中で学習されたもののようである.医師が,やや左前に患者を診ている姿勢が乳児の「左抱き」に相似していて自然である.ハート・ビート説や右脳説のいずれであれ,左前の姿勢が患者の気持ちを楽にしており,患者を愛する医師にとっても自然な姿勢である,と推定され,面接技法の指導にはっきり明記するべきであろう.
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Research Products
(2 results)