2004 Fiscal Year Annual Research Report
EBウイルスによるIGF-1の発現誘導を介した胃がん発生機構の解明
Project/Area Number |
16590566
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岩切 大 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助手 (10307853)
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Keywords | EBウイルス / 胃癌 / IGF-1 / EBER / 上咽頭癌 |
Research Abstract |
これまでの申請者らの研究で、EBウイルスが胃上皮細胞に感染すると、IGF-1の発現が誘導され、そのオートクライン作用により感染細胞の増殖が促進されるということ、またIGF-1の発現誘導の責任遺伝子はウイルスの小RNAであるEBERであることが明らかになった。そしてその後の研究により、上咽頭上皮細胞にEBウイルスが感染すると胃上皮と同様にIGF-1の発現が誘導されること、またそのオートクライン作用により感染細胞の増殖が促進されること、IGF-1の発現誘導の責任遺伝子はEBERであることがわかった。さらにEBウイルスが持続感染した上咽頭癌細胞株でもIGF-1の発現を認め、この細胞株をIGF-1の中和抗体で処理すると、その増殖が抑制されることも明らかとなった。また上咽頭癌組織検体を用いた検討では、調べた組織すべてにおいてIGF-1の高い発現を認めた。以上の結果は、EBERが胃上皮、上咽頭上皮双方で、発がんにおいて重要な役割を果たしているということを強く示唆するものである。本研究ではさらにEBERによるIGF-1の発現誘導がいかにしておこるかについて解析を行っている。まずIGF-1プロモーターを含んだレポーターベクターを構築し、これを細胞に導入すると、EBERの発現細胞では、非発現細胞に比べてIGF-1プロモーターの活性が上昇することを確認した。またEBV感染細胞でも同様にプロモーター活性化を認めた。つづいてIGF-1プロモーターの欠損変異プラスミドを作製し、同様にルシフェレーラーゼアッセイによる解析を行っている。
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Research Products
(2 results)