2004 Fiscal Year Annual Research Report
サイクロスポリンAによるC型肝炎ウイルス増殖制御機構の解析
Project/Area Number |
16590580
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大岡 真也 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助手 (90361691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 直哉 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助手 (10334418)
柿沼 晴 東京医科歯科大学, 医学部附属病院, 助手 (30372444)
榎本 信幸 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (20251530)
渡辺 守 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10175127)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / レプリコン・システム / サイクロスポリンA / small interfering RNA / レトロウイルスベクター / サイクロフィリン / 抗ウイルス療法 |
Research Abstract |
HCVレプリコンシステムを用いたHCV増殖抑制因子の検索の過程で見出した、サイクロスポリンA(CsA)によるウイルス増殖抑制効果について、その抗ウイルス作用機構に関連する宿主遺伝子を探索し、その機能解析を行い、本年度の成果として下記を得た。(1)CsAのHCV遺伝子増殖抑制効果の解析:キメラリポーター・レプリコン・システムを用いて、CsAのHCV遺伝子複製増殖に与える影響を定量的に解析し、その50%抑制濃度が0.3-0.5μg/mlと臨床血中濃度域であることを見出した。この効果は、ゲノタイプ1bおよび2aのHCVレプリコン株で共通していた。(2)HCV全長レプリコンの構築:CsAを含む薬剤のウイルス遺伝子増殖に与える影響をより生体のウイルス感染に近い形で解析するため、HCV非構造蛋白に加え、構造蛋白を発現するレプリコンを構築した。(3)siRNAによるサイクロフィリン・ファミリー遺伝子の発現抑制:siRNAを用いてCsAの標的宿主遺伝子であるサイクロフィリン・ファミリー、カルシニューリン等の遺伝子発現抑制実験の結果、サイクロフィリンA,B及びCがウイルス増殖、ウイルス蛋白成熟に必須であることを確認した。(4)細胞内siRNA発現レトロウイルスベクターによるノックダウン細胞の作成:HCVゲノム破壊効果の確認されたsiRNAについて、さらに細胞内における効果を持続させるため、哺乳類プロモーター下にsiRNAを発現するDNAコンストラクトを構築し、細胞内における効果を解析したところ、サイクロフィリンA,B,Cそれぞれの抑制細胞株年おいて、レプリコン増殖細胞コロニー形成能が有意に低下した。 今回の結果を基に、我々はさらにHCV感染におけるCsAのレプリコン増殖への影響を解析し、抗ウイルス作用経路に関わり得るサイクロフィリン・ファミリー、または未知の宿主因子との機能を同定・解析することにより、抗ウイルス療法の新たな標的分子を捕捉していく。
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Research Products
(5 results)