Research Abstract |
今年度はAFT(Fut8)に対する持続的shRNA発現細胞株の樹立を試みたが,ターゲット配列を発現するpSUPER.AFTが導入された安定細胞系列を樹立することが困難であった.その原因を明らかとする目的で,AFT以外のメッセージを対象として,B型肝炎ウイルスHBx領域を対象として上述と同様のステップを踏み,pSUPER.HBxを含めた持続安定発現細胞系列が樹立可能であった.次にHBx発現トランスジェニックマウスの尾静脈よりHydrodynamic gene delivery法による肝細胞へのプラスミドの導入を行い,pSUPER.HBxによる特異的なHBxの著明な発現抑制が確認された.次に,アンチセンスオリゴRNAによるAFTメッセージのノックダウンを試みた.その結果,アンチセンス群がFuGENE6群に比較して有意に低値をとっていた以外,他の群間に有意な差異は認められなかった.以上より,AFT活性の抑制自体が細胞の生存を不可能とするものではないことが示唆された.さらに,オフターゲット効果の検討についても行った.RNAiは特異性の高い現象であると考えられてきたが,ターゲットの配列以外の,オフターゲット効果,が報告されている.そこで,今回我々が用いたAFTに対するshRNAのターゲット配列である5'-GTGGTCGAGCTTCCCATTG-3'に関して,siRNA Seed Locatorプログラムを用い,ターゲット以外に抑制効果が生じている可能性が高いとされる遺伝子を検索し,1398もの遺伝子がオフターゲット効果を受ける候補遺伝子として抽出された.今回の検討で我々は,初期の目的である持続的shRNA発現によるAFT遺伝子ノックダウン細胞の樹立と,AFTノックダウンに伴う各種糖蛋白糖鎖の変化をプロファイリングすることを果たせなかった.持続的なAFTノックダウン細胞が樹立できなかった最大の原因は,我々が選択したAFTのターゲット配列に基づくオフターゲット効果によることが示唆された.
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