2004 Fiscal Year Annual Research Report
レクチンによる炎症性腸疾患の粘膜修復および免疫制御に関する研究
Project/Area Number |
16590588
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
佐々木 雅也 滋賀医科大学, 医学部, 講師 (40242979)
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Keywords | レクチン / 炎症性腸疾患 / 粘膜修復 / HLA-B27トランスジェニックラット |
Research Abstract |
1 レクチンの粘膜増殖機序に関する研究成績 レクチンの消化管粘膜増殖作用の機序について、ラットを用いた検討をおこなった。通常の経腸栄養剤、Con-A、PHAのレクチンを0.1%添加した経腸栄養剤で2週間飼育した後、ラット小腸粘膜のKi67陽性細胞数と、血中のGlucagon like peptide-2(GLP-2)レベルを測定した。 レクチン添加によりki67陽性細胞数は有意に増加し、血中のGLP-2レベルも上昇した。 クチンの粘膜増殖作用に、著しい小腸粘膜増殖作用を有する消化管ホルモンGLP-2が関与することが明らかとなった。 2 HLAB27トランスジェニックラットにおけるレクチンの粘膜修復効果に関する研究 8週令のHLA-B27トランスジェニックラットに、レクチン無添加の成分栄養剤、0.1%のCon-A、PHAを添加した成分栄養剤で2週間飼育し、自然発症大腸炎の粘膜修復効果を検討した。 PHA添加群では、コントロール群を有意な変化はみられなかったが、Con-A添加群では、粘膜重量、肉眼的炎症スコアが低下した。組織学的な検討では、HLA-B27トランスジェニックラットで認められる著しい炎症性細胞浸潤やびらん形成、絨毛萎縮などは、Con-A添加群では改善傾向がみられた。しかしながら、PHA添加群ではほとんど変化なかった。一方、炎症マーカーとして測定した血中IL-6レベルや粘膜中のmyeloperoxidase活性には有意な変化は認めなかった。 レクチンは、自然発症大腸炎の炎症抑制作用、組織修復効果があると考えられるが、レクチンの添加量や飼育期間などに検討の余地があると考えられた。
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