2004 Fiscal Year Annual Research Report
炎症性腸疾患の癌の診断とエピジェネティクな発癌メカニズムに関する研究
Project/Area Number |
16590601
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松本 主之 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (10278955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 三雄 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (00127961)
中村 昌太郎 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (10243932)
矢田 親一朗 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (00346800)
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / 大腸癌 / マイクロサテライト不安定性 / p14ARF / p16INK4a / メチル化 |
Research Abstract |
1.マウスに分子量5000の10%硫酸デキストランを経口的に投与し、DSS大腸炎を作製し、リンパ球を中心とした慢性炎症細胞浸潤を伴う大腸炎の発生を確認した.8週および16週後の深部大腸と遠位大腸から大腸上皮を採取し、マイクロサテライト不安定性とp14ARFとp16INK4a遺伝子のメチル化の有無を解析中である. 2.潰瘍性大腸炎患者を対象とし、盲腸、直腸、および腫瘍性病変から採取した生検査組織からDNAを抽出し、5つのマイクロサテライトマーカーを用いたmultiplex PCR法によるマイクロサテライト不安定性、およびメチル化特異的PCR法を用いたp14ARFとp16INK4a遺伝子のプロモーター領域のメチル化を検索した.39症例について解析が終了した.その結果、p14ARFのメチル化は盲腸で0%、直腸で26%、腫瘍性病変で100%であったのに対し、p16INK4aのメチル化は盲腸で10%、直腸で9%、腫瘍性病変では0%であった.一方、39症例中マイクロサテライト不安定性陽性は腫瘍性病変1病変のみであった.直腸におけるp14ARFメチル化の有無で臨床像を比較したところ、メチル化陽性例で陰性例よりも潰瘍性大腸炎の罹患期間が長かったが他の臨床像や治療法に明らかな違いを認めなかった.以上より、マイクロサテライト不安定性は潰瘍性大腸炎の癌化には関与しないが、p14ARFのメチル化が癌化の早期に惹起されること、およびこのメチル化が大腸癌の高危険群の抽出に有用である可能性が示唆された.
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Research Products
(3 results)