2005 Fiscal Year Annual Research Report
PPARγ-ligandによるhTERTを標的とした新たな膵癌治療法の開発
Project/Area Number |
16590611
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
渡辺 直樹 札幌医科大学, 医学部, 教授 (10158644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 直樹 札幌医科大学, 医学部, 助手 (00347171)
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Keywords | PPARγ-ligand / 15-Deoxy-Δ^<12,14>-prostaglandin J_2 / human telomerase reverse transcriptase / Pancreas Cancer |
Research Abstract |
PPARγ-ligandのヒト膵臓癌細胞に対する傷害性を確認するために、MIAPaCa-2細胞を各種濃度の15-Deoxy-Δ^<12,14>-prostaglandin J_2(15d-PGJ_2)で処理し、72時間目の細胞生存率を検討した。その結果、15d-PGJ_2濃度に依存して細胞生存率は低下し、15d-PGJ_2 30μM処理時には、未処理時の約30%に達した。次に、15d-PGJ_2処理がhTERT mRNAと蛋白の発現に及ぼす影響を調べたところ、いずれも著明に抑制された。hTERT遺伝子の発現は、転写因子であるSp1、c-Mycおよびestrogen receptor(ER)によって担われている。そこで、15d-PGJ_2処理でこれら転写因子のhTERTプロモーター領域への結合が抑制されるか否か、EMSA法で検討した。その結果、ERの結合量のみが明らかに減少した。この機序を明らかにするため、15d-PGJ_2がERの発現に及ぼす影響を検討した。MIAPaCa-2で発現がみられたのはERβのみであったが、15d-PGJ_2で処理してもその蛋白量に変化はなかった。ERβのDNA結合能は、ERα同様セリンのリン酸化によって高まる。そこで、セリンがリン酸化されたERβ量を調べたところ、15d-PGJ_2処理で明らかに減少した。さらに、ERβのリン酸化に重要な役割を果たすMAP kinaseの活性を、リン酸化ERKの発現量で解析した。その結果、15d-PGJ_2処理でリン酸化ERK量も著明に減少していた。すなわち、15d-PGJ_2はERβのリン酸化阻害を介してhTERTの発現を阻害し、膵癌細胞の増殖を抑制することが明らかになった。本研究により、PPARγ-ligandが新たな膵癌治療薬となる可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)