2004 Fiscal Year Annual Research Report
腹膜中皮細胞へのinterleukin‐10導入を応用した消化器癌遺伝子治療
Project/Area Number |
16590617
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
富永 和作 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (80336768)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
樋口 和秀 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (20218697)
藤原 靖弘 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (40285292)
渡辺 俊雄 大阪市立大学, 大学院・医学研究科, 講師 (50336773)
|
Keywords | Interleukin(IL)-10 / 細胞増殖 / サイトカイン / COX-2 / VEGF / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
サイトカインのひとつであるInterleukin(IL)-10は、Th1 T細胞を介した炎症過程のなかでは一般に抗炎症的に作用し、消化器領域における実験的大腸炎モデルに対し、IL-10遺伝子の導入は抗炎症的に作用し、大腸炎に対する予防効果のみならず、治療にも応用しうることがすでに報告されている。その抗炎症機序には、催炎症的に作用するサイトカインの、転写領域に存在するNF-κBを抑制することが明らかにされてきた。その一方で、食道・胃・大腸におよぶ消化器癌組織においてはNF-κBが恒常的に活性化していることが知られており、その結果癌増殖に関連した遺伝子(例えばCOX-2、VEGFなど)発現が制御・誘導されていることが報告されている。従って、IL-10の恒常的発現を来す環境は、癌組織における局所炎症の制御のみならず、癌細胞増殖抑制にも繋がる可能性が想定される。そこで、樹立化消化器管細胞株NUGC3,MKN45およびHT29 cellを用いIL-10投与による細胞増殖に及ぼす影響についてMTT法を用いてはじめに検討した。 その結果、MKN45細胞は、IL-10を添加により用量依存性に細胞増殖の抑制が認められた。しかし、NUGC3およびHT29 cellにおいては、IL-10添加による細胞増殖能への影響は認められなかった。MKN45 cellにおいて、VEGFおよびCOX-2の発現は時間経過およびIL-10添加のいずれにおいても有意な変化は認められなかった。今後は、各細胞におけるNF-κBの活性化の程度をEMSA等の手法を用いて確認すると同時に、増殖因子あるいはサイトカインにより前処理し、NF-κBを活性化させた状態での細胞増殖能、それに続くmRNA発現について検討する。
|
Research Products
(6 results)