2004 Fiscal Year Annual Research Report
肝性脳症の高次大脳機能異常の発症機序の関する包括的解析
Project/Area Number |
16590621
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
加藤 章信 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (50177424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩井 正勝 岩手医科大学, 医学部, 助手 (40316386)
井上 敬 岩手医科大学, 医学部, 助手 (70326651)
鈴木 一幸 岩手医科大学, 医学部, 教授 (00137499)
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Keywords | 肝硬変 / 潜在性肝性脳症 / 脳内物質代謝異常 / 脳内受容体異常 / glutamine / 磁気共鳴分析法 / GABA-Benzodiazepine / positron断層撮影法 |
Research Abstract |
【目的】肝硬変にみられる潜在性肝性脳症の特徴を脳高次脳機能の測定より明らかにし、潜在性肝性脳症の概念の整理や潜在性肝性脳症にみられる精神神経機能異常に対する治療も検討する。潜在性肝性脳症の機序には、脳内物質代謝異常、脳内受容体異常などが想定されin situで検証する。 【方法】(1)潜在性肝性脳症の脳内物質代謝異常の検討:肝硬変では脳内グリア神経細胞内成分のglutamine (Gln)の増加という脳内物質代謝異常が磁気共鳴分析法(MRS)によりみられるが、従来の1.5teslaのMR装置ではGlnとglutamate (Glu)との分離が困難であった。今回、3.0teslaのMR装置での分離を新しい解析方法を用いて行った。(2)潜在性肝性脳症の診断と脳内受容体異常の検討:肝硬変では脳内にbenzodiazepine(BZ)様物質が増加し、肝性脳症の成因と考えられるが、脳内GABA-BZ受容体の異常の有無については明らかではない。そこで、脳内GABA-BZ受容体リガンド結合能状態をポジトロン断層撮影法により測定し、血液生化学検査との関連を検討した。また潜在性肝性脳症の早期診断目的にコンピュータシステムを開発し肝硬変に施行する。 【結果】(1)潜在性肝性脳症の脳内物質代謝異常の検討:3.0teslaのMR装置により脳内でのGlnとGluとの分離が可能となり、肝硬変で増加しているのはGlnであることが明らかとなった。(2)潜在性肝性脳症の診断と脳内受容体異常の検討:肝硬変でのGABA-BZ受容体結合能は亢進しており、血液アンモニア濃度と相関することから、GABA-BZ受容体結合能は血液アンモニア濃度によって変化することが明らかとなった。さらに新しく開発したコンピュータによる定量的精神神経機能検査により肝硬変の40〜60%の症例が潜在性肝性脳症である可能性が示された。
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Research Products
(4 results)