2005 Fiscal Year Annual Research Report
潰瘍性大腸炎の発症および重症度を規定する遺伝的要因の検討
Project/Area Number |
16590627
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Research Institution | Saitama Medical School |
Principal Investigator |
稲生 実枝 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (70286037)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
持田 智 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (20219968)
新井 晋 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (20306294)
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / オステオポンチン |
Research Abstract |
炎症性腸疾患の成立にはTh1免疫応答が関与し,炎症性サイトカインやメディエーター等が微小循環障害を惹起し病態が進展すると考えられる。しかし,特定の宿主にのみ発症し,また重症度が多彩である原因は明らかになっていない。オステオポンチン(OPN)は,Th1免疫応答の開始に必須のサイトカインである。OPN遺伝子のプロモーター領域の塩基配列を解析したところ,日本人では4つの単塩基変異(SNP)が存在し,特にnt-443のSNPはC型慢性肝炎患者の肝炎活動性と関連した。OPNを肝細胞に過剰発現するトランスジェニックマウスを作成し観察したところ,本マウスは免疫応答がTh1系優位であり,CTL浸潤を伴う肝壊死を自然発症した。また肺,唾液腺,消化管などにも観察され,肝以外の臓器における免疫応答もTh1系優位に偏っていると考えられた。以上の成績から,nt-443のSNPはOPNの転写を制御していると推定され,細菌感染等の誘因を契機に,消化管を場とする免疫応答のTh1/Th2系免疫応答が破綻し,炎症性腸疾患を発症ないしは重症化する可能性があると示唆された。そこで,炎症性腸疾患患者のnt-443のSNPをINVADER法にて測定したところ,潰瘍性大腸炎ではT/T39%,T/C55%,C/C6%で,またクローン病ではT/T40%,T/C40%,C/C20%であった。同時にnt-616のSNPの測定では,潰瘍性大腸炎ではT/TO%,T/G61%,G/G39%,クローン病ではT/T20%,T/G0%,G/G80%であった。潰瘍性大腸炎、クローン病共に、nt-443のTの塩基、nt-616のGの塩基を持つ人が、多いことがわかった。治療において、ステロイド剤や免疫抑制剤を使用したり、手術を行なわれている重症患者の塩基配列を検討したが、nt-443及びnt-616の遺伝子配列による、特異性は見出せなかった。
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