2005 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌におけるRhoGDIによる転移制御機構の解明
Project/Area Number |
16590642
|
Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
太田 隆英 金沢医科大学, 総合医学研究所, 助教授 (10152141)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 雅代 金沢医科大学, 医学部, 助手 (30199632)
|
Keywords | RhoGDI / LyGDI / RhoGDI2 / D4GDI / 転移 / 大腸癌 / FAK / アノイキス / アポトーシス / src |
Research Abstract |
我々はC末欠失D4GDI(LyGDI)(Δ166-201)が活性型Rac1を細胞膜のエフェクター部位につなぎ止め、Rac1シグナル系を恒常的に活性化することによりがん細胞の転移を促進することを明らかにしてきた。今年度は、Δ166-201にはin vitro transformation活性はないことを明らかにした。一方、生理的にはD4GDIはアポトーシス細胞や炎症白血球において、Asp19,Asp55でcaspase-3やcaspase-1によりそれぞれ切断を受けるが、これら切断型D4GDIの機能は不明であった。我々は、v-srcでトランスフォームしたA31-1-1細胞(1-1src細胞)を主に用いて、これら切断型D4GDIの転移における機能を検討した。前年度までに、Δ55-D4GDIを強制発現させた細胞において、転移能が顕著に低下すること、これがアノイキス(細胞が細胞外基質から離脱したことにより生じるアポトーシス)感受性の増加によることを明らかにしてきた。今年度は、アノイキス感受性増加の原因を探るために、アノイキスの主要な制御分子の一つであるFAK(Focal adhesion kinase)に関して検討を行った。その結果、Δ55-D4GDIはFAKのtyr397、tyr925のリン酸化レベルには影響を及ぼさないが、アノイキス誘導後のFAKの細胞膜への局在を抑制することがわかった。D4GDIはFAKの細胞内局在の制御を通じてがん細胞のアノイキス感受性に影響を及ぼすことが示唆され、D4GDIが癌治療の標的分子となる可能性が考えられた。
|