2004 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスによるインスリン抵抗性発症の分子機構解明
Project/Area Number |
16590648
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
佐田 通夫 久留米大学, 医学部, 教授 (10162398)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 巧 久留米大学, 医学部, 助手 (00320177)
吉田 隆文 久留米大学, 医学部, 助手 (30368899)
長尾 由実子 久留米大学, 先端癌治療研究センター, 講師 (90227992)
原田 大 久留米大学, 医学部, 講師 (00241175)
|
Keywords | C型慢性肝炎 / インスリン抵抗性 / HOMA-IR / C型肝炎ウイルスコア抗原 / SOCS-3 / insulin receptor substrate / インスリンシグナル伝達分子 / HepG2細胞 |
Research Abstract |
肝臓は糖質代謝を担う中心臓器の一つであり、肝細胞障害は糖質代謝異常を引き起こす。本年度我々は、耐糖能異常を高率に合併する肝臓病の原疾患同定を目的に、当科にて経過観察中の肝疾患患者の空腹時血糖および血清インスリン値を測定、さらにインスリン抵抗性の指標であるHOMA-IRを算出し、各肝疾患群間における耐糖能異常の合併率・インスリン抵抗性について統計学的検討を行った。C型慢性肝炎患者は他の慢性肝疾患群に比べにインスリン抵抗性が優位に高かった。また、C型慢性肝炎患者血清よりC型肝炎ウイルスコア抗原量を測定し、インスリン抵抗性との関連を検討したところ、C型肝炎ウイルスコア抗原量が末梢血より検出される患者は検出されない患者に比べ優位にインスリン値が高く、C型肝炎ウイルスコア抗原のインスリン抵抗性発現への関与が示唆された。肝細胞内でのインスリンシグナル分子の変化を検討するため、C型慢性肝炎患者肝組織を用い、免疫染色によりsuppressor of cytokine signaling-3(SOCS3),insulin receptor substrate(IRS)-1およびIRS-2の発現量を検討した。SOCS3はその発現量が少なく詳細な検討が不可能であったが、インスリンシグナル伝達の中心的役割を演ずるIRS-1およびIRS-2はC型慢性肝炎患者肝組織において正常肝組織のそれと比べ発現量の低下が認められた。C型肝炎ウイルスコア蛋白のインスリン抵抗性発症における分子機序解明のため、HepG2細胞にC型肝炎ウイルスコア蛋白遺伝子導入を行った。C型肝炎ウイルスコア蛋白遺伝子導入を行ったHepG2細胞はインスリン刺激後も培養上清中のグルコースが優位に高く、in vitroの実験系においてもC型肝炎ウイルスコア蛋白のインスリン抵抗性発現への関与が示唆された。
|
Research Products
(1 results)