2006 Fiscal Year Annual Research Report
C型肝炎ウイルスによるインスリン抵抗性発症の分子機構解明
Project/Area Number |
16590648
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
佐田 通夫 久留米大学, 医学部, 教授 (10162398)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 巧 久留米大学, 医学部, 助手 (00320177)
吉田 隆文 久留米大学, 医学部, 助手 (30368899)
長尾 由実子 久留米大学, 医学部, 助教授 (90227992)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / インスリン抵抗性 / insulin receptor substrate / 細胞内インスリンシグナル / インターフェロン / ウイルス駆除 / トランスジェニックマウス / 免疫染色 |
Research Abstract |
昨年度までに我々は、以下の3点を明らかにした。1)C型慢性肝炎患者は他の慢性肝疾患群に比べにインスリン抵抗性が強い。2)C型肝炎ウイルスコア抗原が末梢血より検出される患者は検出されない患者に比べ有意に空腹時インスリン値が高値である。3)ケース・コホート研究にてC型肝炎ウイルスコア抗原量が高値の住民はHCV抗体陰性の住民に比べ、糖尿病の発症危険率は5.6倍高い。今年度、我々は、C型肝炎ウイルスによるインスリン抵抗性発症の分子機序をC型肝炎ウイルスコア蛋白トランスジェニックマウスを用いて解析した。肝細胞内でのインスリンシグナル分子の変化を検討するため、肝組織を用い、免疫染色によりsuppressor of cytokine signaling-3(SOCS3), insulin receptor substrate(IRS)-1およびIRS-2の発現量を検討した。SOCS3は発現量が少なく検討を行えなかったが、インスリンシグナル伝達の中心的役割を演ずるIRS-1およびIRS-2はwild typeのそれと比べ発現量の低下が認められた。また、ヒトを対象とし、インターフェロン治療によるC型肝炎ウイルス駆除のインスリン抵抗性に及ぼす影響についても併せて検討した。ウイルス駆除に成功した群ではインターフェロン治療前に比ベインスリン抵抗性が改善していた(n=29,P<0.01)。本研究によりC型肝炎ウイルス自体が肝細胞内インスリンシグナルを傷害することが明らかとなった、また、C型肝炎ウイルスを駆除することでインスリン抵抗性が改善することを明らかとした。
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Research Products
(10 results)