2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16590649
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
坂本 雅晴 久留米大学, 医学部, 助手 (60248367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 隆登 久留米大学, 医学部, 教授 (70176618)
中村 徹 久留米大学, 医学部, 助手 (30341332)
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Keywords | エストロゲン / NO / エストロゲンレセプター / 肝類洞内皮細胞 |
Research Abstract |
【目的】エストロゲンは血管内皮細胞からNitric oxide (NO)の産生を促進させたり、endothelin-1の産生を抑制し、血行動態の調節を行っている。肝硬変症では肝内のendothelin-1の増加やNO synthase (NOS)活性の低下がみられ、門脈圧亢進症の一因となっている。これまで我々は、肝硬変モデルラットにエストロゲンを投与することにより、門脈圧亢進症が改善することを報告した。また最近エストロゲンレセプター(ER)には、ERαとERβの2種類のサブタイプの存在が知られている。そこで今回、肝硬変モデルラットの肝類洞内皮細胞(SHC)におけるNOとERの関連について検討した。 【方法】肝硬変モデルラットの作製は、Dimethylnitrosamine (DMN)を使用した。DMN処理後のラットより分離培養したSECを用いた。1ng/mLのβ-estradiolを培養上清中に24時間添加し、NO indicatorであるdiaminofluorescein-2 diacetate (DAF-2DA)とERアンタゴニストであるICI 182.780を使用してSEC内のNOの変化を共焦点レーザー顕微鏡で観察した。SECにおけるERサブタイプの同定には抗ERαおよび抗ERβ抗体を用いた蛍光抗体間接法によりその局在を観察した。また、RT-PCR法によるERαおよびERβ mRNAの発現を検討した。 【結果】β-estradiolの添加により培養SECにおける細胞内NOの蛍光量は非添加群に比べ有意に増加していた。さらに、ICI 182.780を同時に添加することによりその蛍光量は有意に抑制された。蛍光抗体法によるERの観察ではSEC内のERαの発現はERβに比べ著明であった。RT-PCR法によるERmRNA発現においても同様の結果を呈した。 【結論】β-estradiolの添加により肝硬変モデルラットのSECにおけるNO産生が亢進した。β-estradiolの添加による同モデルラットのSECでのNO産生は主にERαを介した作用であることが示唆された。
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