2004 Fiscal Year Annual Research Report
アポトーシス制御による新たな心血管再生療法の確立:さらなる治療効果改善を目指して
Project/Area Number |
16590667
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
高橋 将文 信州大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (40296108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊勢 裕彦 信州大学, 大学院・医学研究科, 助手 (10324253)
池田 宇一 信州大学, 大学院・医学研究科, 教授 (30221063)
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Keywords | アポトーシス / 骨髄幹細胞 / サイトカイン / 血管内皮前駆細胞 / 心筋細胞 / マウス |
Research Abstract |
心血管細胞におけるアポトーシスの制御を目的として、エリスロポイエチン(erythropoietin : EPO)および顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte colony stimulating factor : G-CSF)による心筋細胞におけるアポトーシスへの影響について検討した.ラット新生仔由来培養心筋細胞を酸化ストレス(Hydrogen peroxide)で刺激することによりアポトーシスを誘導した.この酸化ストレス誘導性アポトーシスは、EPOあるいはG-CSFの添加により濃度依存性に抑制された.特に、EPOによるアポトーシス抑制作用はwortmanninの前処理によって阻害され、EPOが心筋細胞のAktのリン酸化を誘導したことから、この作用がPI-3キナーゼ/Aktのシグナル経路を介していることが示唆された.また、EPOおよびG-CSFによる骨髄由来の血管内皮前駆細胞の動員をフローサイトメトリーにより解析した.B57/BL6マウスにEPO(5000U/kg、3回/週)を投与したところ、末梢血中の血管内皮前駆細胞(CD34^+/Flk-1^+)の増加を認めた.また、G-CSF(100microg/kg、5日間連続)の投与では、末梢血白血球の著明な増加とともに血管内皮前駆細胞の増加を認めた.さらに、このG-CSFで動員された血管内皮前駆細胞が傷害血管に対する修復作用を示すかどうかを、マウス血管障害モデルで検討したところ、G-CSFは傷害血管の再内皮化を促進し、その後の血管平滑筋増殖による内膜肥厚の形成を抑制することが明らかとなった.今後、これら因子による心筋梗塞モデルなどの心血管疾患モデルにおけるアポトーシスへの影響および骨髄幹細胞移植治療への効果などについてさらに詳細に検討する予定である.
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