2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16590671
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
加藤 秀樹 浜松医科大学, 医学部, 助手 (80314029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 洋 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (30293632)
寺田 肇 浜松医科大学, 医学部附属病院, 講師 (50252177)
林 秀晴 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50135258)
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Keywords | ミトコンドリア / β受容体 / 膜電位 / 心不全 / 酸化還元状態 / 活性酸素種 |
Research Abstract |
心不全の治療において、β1受容体阻害剤は重要な治療方法として確立しているが、β1受容体阻害剤による心筋保護効果の発現機構については明らかではない。近年、ミトコンドリア内膜に、β1受容体刺激後のシグナル蛋白であるprotein kinase A (PKA)のアンカー蛋白が存在することが報告され、β1受容体刺激後の細胞内シグナルによるミトコンドリア機能の修飾が注目される。本研究では、β1受容体刺激がミトコンドリアに及ぼす直接的な効果を検討するために、細胞膜を除去したラット心筋細胞において、PKAのcatalytic subunitを灌流してミトコンドリアの酸化還元状態(FAD自家蛍光)とミトコンドリア内膜の膜電位(ΔΨm)を測定した。前年度までに(1)FAD自家蛍光はPKA catalytic subunitによって容量依存性に増加し、この変化はPKA catalytic subunitの阻害剤であるPKIにより抑制されること、(2)ΔΨmはPKA catalytic subunitによって容量依存性に脱分極し、この効果はPKIにより抑制されること、(3)PKA catalytic subunitの投与によりDCFの蛍光強度は増加し、この効果はROSスカベンジャーであるtroloxにより抑制されることを報告してきた。18年度はこれらに加えて、PKA catalytic subunitによるミトコンドリアの酸化還元状態や膜電位の変化の機構として、mitochondrial permeability transition pore (mPTP)とinner mitochondrial anion channel (IMAC)の関与について検討した。MPTPの阻害剤であるcyclosporine AはPKA catalytic subunitによる膜電位の脱分極を抑制しなかったが、IMACの阻害剤であるDIDSは膜電位の脱分極を阻害した。これらの結果より、PKAによるミトコンドリアへの直接作用には、ミトコンドリアでのROS産生とIMACの開口が関与していることが示された。このmPTPへの作用を明らかにすることで、β1受容体刺激による心筋細胞障害の新しい機構の解明と治療法の確立に関与する可能性が示された。
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Research Products
(6 results)