2004 Fiscal Year Annual Research Report
心筋再生医療の実用化(細胞移植による致死性不整脈発生機序の解明と予防)
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16590675
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
清水 敦哉 名古屋大学, 環境医学研究所, 助手 (50345914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 香一郎 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (50194973)
本荘 晴朗 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教授 (70262912)
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Keywords | 骨格筋芽細胞 / 細胞移植 / 融合細胞 / 電気生理学的な特性 / 不整脈 |
Research Abstract |
昨年度の交付金により、これまでに当研究室での検討から以下の事柄が明らかとなった。すなわち、1)骨格筋芽細胞は深い静止膜電位にあり、細胞同士が融合する直前に静止膜電位が上昇すること 2)筋管細胞に分化後は概ね-40mV程度の静止膜電位で安定すること 3)一部の筋管細胞では自発興奮を認めること 4)筋管細胞自体はGap Junctionを隣接細胞間で形成せず電気的に独立していることである。 一方骨格筋芽細胞が心筋へ移植された場合に致死性不整脈を起こすことは近年の多くの臨床研究から明らかとされている。この原因として、心筋とは異なる活動電位持続時間を持つ移植骨格筋芽細胞の一部が周辺心筋細胞と細胞融合を起こし、新たな電気的連関を<ホスト心筋細胞-ドナー筋管細胞間>に獲得することに起因することが基礎的検討結果から示唆されている。これらの報告に基づき現在我々は初代培養細胞を用いて、心筋細胞-骨格筋管(筋芽)細胞の融合細胞の電気生理学的な特性を評価(実際には(1)生細胞染色蛍光色素であるRFP遺伝子を導入したラット骨格筋芽細胞をGEP発現ラット由来の心筋細胞と共培養し、(2)細胞融合を生じた細胞をRFPとGFPの何れもが陽性であることを用いて選別し、(3)この融合細胞の電気生理学的な特性をパッチクランプ法により解析)している。 現在までにプレリミナリーな結果ではあるものの、融合細胞の一部では形態的に明らかな筋管細胞様でありながら活動電位持続時間が骨格筋型から心筋型へ明らかに変化しているものがあることを確認している。 今後は複数のこれらの融合細胞の電気生理学的特性を評価することによって、骨格筋芽細胞が心筋内へ移植された際に形成される融合細胞の電気生理学的あるいは機能的特性がどのようなものであるかを検討することによって、骨格筋芽細胞の心筋への移植時に生じる不整脈の発生機構を検討していく予定である。
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