2005 Fiscal Year Annual Research Report
血管内エコー生体組織診断法を用いた冠動脈プラーク不安定化の局所的機序に関する研究
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16590690
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
廣 高史 山口大学, 医学部附属病院, 助手 (10294638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 崇史 山口大学, 医学部, 助教授 (60228947)
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Keywords | 動脈硬化 / プラーク / ストレス / 血管内エコー法 |
Research Abstract |
本研究では、コンピュータの構造解析に基づいたストレスカラーマッピング法を用いて、冠動脈長軸方向におけるプラーク内ストレス分布の局所規定因子を解明することにある。本研究では、いくつかの仮想血管モデルと、3次元血管内超音波画像において、既に確立された血管組織各成分の物質特性値を用いて、有限要素法によりコンピュータ解析を行った。相当ストレスは丘状プラークの頂上部と両肩の部分に集中した。プラークにくぼみがある場合には、頂上部と両肩の部分だけでなく、くぼみの部分にもストレスの集中がみられた。プラーク表面の相当ストレスは、内腔狭窄率が増大するほど逆に減少した。またプラークの最大厚が一定である場合、プラーク表面の相当ストレスは陽性リモデリングするにつれて大きくなり、陰性リモデリングするにつれて小さくなった。脂質コアが存在すればその表面の相当ストレスは大きくなった。しかし、線維性被膜の厚さはプラーク表面の相当ストレスに大きな影響があり、線維性被膜が菲薄化すればすれほどプラーク表面の相当ストレスは増大した。本研究で用いた理論的血管モデルにおいては、線維性被膜の厚さが80μm以下になれば、プラーク表面の相当ストレスの最大値はプラークの破綻臨界値を超える値となった。また、表在性の石灰化はプラーク表面の相当ストレスを軽減させた。脂質コアの近傍に表在性の石灰化が存在すれば、脂質コア表面の相当ストレスは軽減した。血管内超音波の長軸再構築画像で観察しえたプラーク破綻像での検討でも、破綻臨界厚は症例ごとに大きく異なっていた。以上によりプラーク破綻に至る際の線維性被膜厚は、プラークの構造、特に近傍の石灰化の程度の違いにより、プラークごとに大きく異なることを示し、単に線維性被膜の厚さを測定するだけではプラークの不安定性を評価できるものではないことが示唆された。
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