2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヘパリンコファクターIIの新規動脈硬化・血栓症抑制作用の発見と臨床応用に関する研究
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16590692
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
東 博之 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (10241275)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三ツ井 貴夫 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (80294726)
赤池 雅史 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (90271080)
池田 康将 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 医員(臨床)
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Keywords | トロンビン / ヘパリンコファクターII / 動脈硬化 / PCI / ノックアウトマウス / 血管リモデリング / 血管平滑筋細胞 / PAR |
Research Abstract |
我々は、従来より考えられてきたHCIIの機能としての静脈血栓抑制作用はその主たるものではなく、HCIIは動脈血管壁において産生されたトロンビンを迅速に不活化し、血管平滑筋細胞の形質転換を抑制することにより血管リモデリング進行さらに動脈硬化病変形成を制御していると考えた。この仮説の基に、血管平滑筋細胞の増殖が主病変を占める経皮的冠動脈形成術(PCI)後のステント再狭窄率について血中HCII活性が80%未満の群、80-110%の群、および110%以上の群の3群間で比較した結果、110%以上の群では80%未満の群よりも有意に(p=0.0039)再狭窄率が抑制されることを明らかにした(Circulation,2004;109:481-486)。さらに、血中HCII活性と頸動脈内膜中膜肥厚度(IMT)の関連性について306名の高齢患者で解析した結果、HCII活性が上昇する程IMT値が低下することを見いだし、HCII活性は頸動脈硬化を抑制する新たな予測因子であることを明らかにした(Circulation,2004;109:2761-2765)。このように、我々はHCIIの新規機能として新生内膜肥厚および粥状動脈硬化を抑制する新規血漿蛋白であることを明らかにした。このHCIIの病態生理的機能をさらに解明するため、HCII欠損マウスの作製を行い、ホモ欠損マウスは胎生致死であることを見いだした。そこで、ヘテロ欠損マウスを用いて大腿動脈カフ傷害モデルでの血管リモデリングの変化を野生型マウスと比較した。その結果、傷害4週後において野生型マウスでは新生内膜肥厚および外膜肥厚は軽度であるが、ヘテロマウスでは両者とも著明に増加している成績を得た(内膜/中膜比、野生型0.25;ヘテロ0.78,p<0.01、外膜/中膜比、野生型1.4;ヘテロ2,6、p<0.01)。今後、HCIIの補充効果について解析を進める予定である。
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Research Products
(2 results)