2005 Fiscal Year Annual Research Report
細胞間接触による内皮細胞の増殖と機能分化に関わるシグナル伝達網の解明
Project/Area Number |
16590695
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
平野 真弓 九州大学, 大学院・医学研究院, 助手 (80336031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平野 勝也 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (80291516)
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Keywords | 血管内皮細胞 / 細胞間接触 / Kip1遺伝子 / 転写活性 / 低分子量G蛋白質 / Rac1 |
Research Abstract |
内皮細胞の増殖を停止する際、p27^<Kip1>遺伝子の転写の活性化によりp27^<Kip1>蛋白質の発現が増加する。しかし、細胞間接触形成に伴うp27^<Kip1>遺伝子の転写亢進の機序は、未だ不明である。本研究では、細胞間接触によるp27^<Kip1>遺伝子の転写活性化に関わるシグナル伝達網を明らかにすることを目的とした。 1.p27^<Kip1>遺伝子の翻訳開始点の上流686bpまでのプロモーター領域を組み込んだレポータープラスミドをウシ大動脈内皮細胞に導入し、プロモーター活性を解析した。細胞間接触による転写亢進を検討するために、細胞間接触を誘導しない培養系、内皮細胞同士の同種細胞間接触を誘導した系、HeLa細胞と内皮細胞との異種の細胞間接触を誘導した3つの系で解析した。通常の培養系と異種の細胞間接触を誘導した系では、同程度の転写活性を示したのに対して、内皮細胞同士の細胞間接触を誘導した系では、p27^<Kip1>遺伝子のプロモーター活性が増加した。 2.内皮細胞同士の接触による転写亢進に対する低分子量G蛋白質の関与を検討した。 Rac1及びRhoAのシグナル伝達をそれぞれ阻害するために、p21活性化キナーゼ(PAK1)のRac1/Cdc42結合領域(PBD)、及びRhoキナーゼのRhoA結合領域(RB)を、細胞侵入性ペプチドを用いて導入した。PBDを細胞内に導入した後に、内皮細胞間接触を形成させた場合には、転写活性の上昇は有意に抑制された。しかし、細胞侵入性ペプチドを除いたPBDは無効であった。一方、RBの導入では有意な抑制効果は認められなかった。 3.GTP結合型Rac1を、pull down法を用いて評価すると、細胞間接触の誘導によりGTP結合型Rac1は増加した。 以上の研究から、血管内皮細胞の細胞間接触によるp27^<Kip1>遺伝子の転写亢進には、Rac1の活性化が重要な役割を果たすことが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)