2004 Fiscal Year Annual Research Report
難治性心室細動における心筋細胞内カルシウム動態異常の解析と治療戦略の探究
Project/Area Number |
16590707
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
田中 秀央 京都府立医科大学, 医学研究科, 助手 (60236619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高松 哲郎 京都府立医科大学, 医学研究科, 教授 (40154900)
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Keywords | 心室細動 / カルシウム / ギャップ結合 / カルシウム波 |
Research Abstract |
致死性不整脈である心室細動(以下VF)において、細胞内カルシウム(以下Ca)過負荷による心筋細胞間の電気的結合の低下が、心室内の興奮伝導を不均一化・無秩序化させ、難治化するとの仮説をたて、ラットの摘出灌流心にCa蛍光色素fluo3を負荷し、心電図記録下にリアルタイム共焦点顕微鏡を用いて心筋細胞内のCa濃度の動態を解析し、以下の結果を得た。 正常の調律時には、心臓の興奮に伴って個々の心室筋細胞が時間的・空間的に均一なCaトランジェント(以下CaT)を発生したが、高頻度刺激により誘発された心室頻拍(以下VT)やVFでは、個々の心筋細胞内のCaTの振幅が心拍毎に変化したりCaTが交代性に出現するなど時間的空間的に不均一なCa動態を呈した。不均一なCa動態は、VT・VFが5-10分間の持続に伴って増強した。さらにVT時に観察されるCa動態に比し、VF時のそれはより不均一性が著しく、CaTのほかに細胞内を波状に伝播するCa波も観察された。VF時の心臓全体に直流通電すると除細動され、心室は静止し、その直後に個々の細胞内でCa波が広範に発生した。これらの結果より、VFの持続は細胞内Ca過負荷を惹起することが明らかになった。これらの不均一なCa動態は、細胞内カルシウム過度負荷を軽減するCa拮抗薬(verapamil)を加えることにより均一化され、これに伴ってVFがVTまたは正常調律に復した。VFの持続は心電図にも変化を認めた。VF誘発直後には比較的均一な心室興奮波(細動波)が観察されたのに対し、10-20分間VFが持続すると次第に細動の振幅が減弱した。この結果は、VFの持続が心筋組織の伝導障害を増強させることを示唆し、おそらくCa過負荷の増強によるギャップ結合を介する細胞間結合の低下が関与しているものと示唆された。 以上、VFの難治化に細胞内のCa過負荷が関与することが示唆された。
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Research Products
(4 results)