2004 Fiscal Year Annual Research Report
高血圧性心不全における細胞内情報伝達系の役割と心不全治療への応用に関する研究
Project/Area Number |
16590712
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
松岡 博昭 獨協医科大学, 医学部, 教授 (20111544)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 直彦 獨協医科大学, 医学部, 講師 (90254945)
石光 俊彦 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (80232346)
錦見 俊雄 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (80291946)
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Keywords | Dah1食塩感受性ラット / 心肥大 / 心不全 / リモデリング / Y-27632 / ベタキソロール / エプレレノン |
Research Abstract |
高血圧性心疾患モデルであるDah1食塩感受性心肥大ラットと心不全ラットを用いて心臓や腎臓における細胞内情報伝達系を調べ、新しい心不全治療の可能性を検討した。 1.心肥大ラットに選択的Rho-kinase阻害薬Y-27632を投与すると、降圧とは独立した機序により心血管リモデリングが改善し、Rho-kinase発現やミオシン軽鎖リン酸化は抑制された。またY-27632の投与はeNOS発現の亢進やROS産生源であるNAD(P)H oxidase p22phox、p47phox、gp91phoxおよびLOX-1発現を抑制し、心保護作用の機序としてeNOSおよび酸化ストレス-LOX-1経路が関与していることが示唆された。また選択的β1遮断薬であるベタキソロールを投与して同様の検討を行うことにより、ベタキソロールの心保護作用にはeNOSやVEGF発現の亢進やLOX-1発現の抑制が関与していることが示された。さらに選択的アルドステロン受容体拮抗薬であるエプレレノンの投与により、心肥大ラットで亢進した腎皮質のLOX-1、VCAM-1、ICAM-1、P-selectin、Rho-kinase発現やPKCε、ERK、p90RSK活性は抑制され、障害された糸球体硬化指数や蛋白尿の改善が認められたことより、エプレレノンの腎保護機序としてLOX-1-接着因子、PKCε-MAPK-p90RSKおよびRho-kinase経路が関与している可能性が示唆された。 2.心不全ラットでは腎障害も認められるが、MAP kinase familyであるp38MAPKを介したIL-1βやTNF-α発現の抑制が腎障害を改善するか否かを、p38MAPK選択的阻害薬FR167653の投与により検討した。心不全病態で亢進した腎臓のIL-1β・TNF-α mRNA発現やp38MAPK活性はFR167653の投与により抑制され、また腎障害や蛋白尿の改善が認められたことより、p38MAPKを介したサイトカインの抑制が心不全時の腎保護作用に関与している可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)