2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16590713
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Research Institution | KITASATO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
和泉 徹 北里大学, 医学部, 教授 (80143775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
猪又 孝元 北里大学, 医学部, 講師 (20311954)
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Keywords | 拡張型心筋症 / 自己免疫性心筋症 / エリスロポエチン / T細胞 |
Research Abstract |
今回は内因性造血因子であるエリスロポエチン(EPO)によるラット実験的自己免疫性心筋炎・心筋症モデル(EAM/C)における免疫調整作用を検索した。EPOは主にアポトーシスの抑制効果による虚血性障害からの心筋保護効果が報告されているが、心筋炎における免疫調整作用については全く知られていない。そこで、5週齢、雌ルイスラットをブタ心筋ミオシンで免疫し、EPO3000U/kg、又は生食を連日皮下投与し、21日後に組織学的検討を行った。その結果、EPOは心筋組織中の炎症性サイトカイン、ケモカインm-RNAの減少とともに、EAM/Cの重症度を有意に軽減させた。肉眼的スコアー:1.8±0.4vs.3.7±0.6(P<0.01),組織学的スコア:1.4±0.5vs.3.3±0.7(p<0.01)、心体重比:5.1±1.0vs.6.8±1.7(×10-3;p<0.01)、IFN-γ、IL-10,MIP-1α、MCP-1mRNA:1.4±1.0vs.2.3±7.0、4.7±2.8vs.16.1±7.6、16.1±11.9vs.42.8±30.2、54.3±3.08vs.135.0±88.7(×10^3copy/10ng total RNA;それぞれp<0.01)。in vitroにおけるEAM/Cの導入期の検討として、EPOは心筋炎惹起性ミオシン特異的T細胞株の増殖を抑制せず、抗原提示細胞(照射下胸腺細胞)の抗原提示能を抑制しなかった。また、同細胞の静脈内投与により作成されるEAM/Cの効果期のみを反映するモデルを用いた実験系でも、EPOは心筋炎症の有意な抑制効果を持たなかった。このことから、生体内の内因性造血因子が心筋組織中のサイトカインやケモカインの減少を通じて自己免疫性心筋症の臨床診断をマスクしている可能性が明らかとなった。 二年間の研究を通じて、はじめに掲げたステップ5研究への克服すべき課題が徐々に明らかとなってきた。即ち、自己免疫心筋症の臨床診断には、(1)T細胞のβ受容体Gi蛋白シグナル、(2)エリスロポエチンなどの内因性造血因子、の修飾効果の解析が必須であるとの結論である。そこで、今後は詳細な機序を解明しつつ、臨床診断の免疫学的基盤を確立する。
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Research Products
(3 results)