2005 Fiscal Year Annual Research Report
急性冠症候群における動脈血栓形成の解明および細胞接着阻害薬の開発
Project/Area Number |
16590722
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
池田 久雄 久留米大学, 医学部, 教授 (50168134)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横山 晋二 久留米大学, 医学部, 助手 (10320194)
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Keywords | 動脈血栓 / 血小板 / 白血球 / P-セレクチン / P-セレクチン欠損マウス / 内科 / 循環器・高血圧 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
動脈硬化の最終段階では粥腫の破裂に引き続き、冠動脈血栓が形成され、不安定狭心症や急性心筋梗塞などの致死的な急性冠症候群が発生する。生体内における血栓形成において、血小板P-セレクチンを介した血小板と白血球の接着機構が関与していることを、これまで我々は報告してきたが、生体内血栓形成における血小板P-セレクチンの詳細な役割は不明であった。そこで我々は、動脈血栓形成における血小板P-セレクチンの役割を検討する為にP-セレクチン欠損マウスを用いて研究し、以下のような研究成果が得られた。 1)P-セレクチン欠損マウスにおいて、P-セレクチンが真に欠損していることをPCR法で確認した後にP-セレクチン欠損マウスと野生型マウスを用いて、塩化鉄刺戟によるマウス頚動脈血栓モデルを作成した。そして血栓により閉塞されるまでの時間(血栓閉塞時間)を比較検討した。野生型マウス群と比較しP-セレクチン欠損マウス群では血栓閉塞時間が延長し、さらにP-セレクチン欠損マウス群では血栓形成により動脈が閉塞された後にもしばしば自然再還流現象が観察されたが、野生型マウス群ではこのような現象は観察されなかった。 2)血小板凝集についての検討では、ADPによる血小板凝集能はP-セレクチン欠損マウス群と野生型マウス群では差は認められなかった。 3)血小板および白血球が存在する全血凝集についての検討では、ADPによる全血凝集能は野生型マウス群に比較しP-セレクチン欠損マウス群で抑制されていた。 4)フローサイトメトリーを用いたADPによる全血凝集塊の検討では全血凝集塊の増大はP-セレクチン欠損マウス群では認められなかったが、野生型マウス群で増大した。 5)フローサイトメトリーを用いて、ADPによる全血凝集塊を血小板および白血球活性化のマーカーで二重染色を行った検討では、上記4)と同様の結果が得られ、全血凝集塊の機能的評価が可能であった。 以上の結果から、生体内動脈血栓形成過程において、血小板P-セレクチンを介した血小板-白血球との相互作用は動脈血栓の増大と安定化に大きく関与していることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)