2004 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化の発症進展におけるシグナル制御因子SOCS3の役割の解明と治療への応用
Project/Area Number |
16590723
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
安川 秀雄 久留米大学, 循環器病研究所, 講師 (60289361)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今泉 勉 久留米大学, 医学部, 教授 (60148947)
甲斐 久史 久留米大学, 医学部, 助教授 (60281531)
|
Keywords | 動脈硬化 / サイトカイン / インターロイキン6 / JAK / STAT / SOCS3 / 酸化LDL / マクロファージ泡沫化 |
Research Abstract |
ApoE欠損マウス(ApoE-KO)などの動脈硬化モデルやヒト動脈硬化巣において、動脈硬化の進展にマクロファージが重要である。またヒト動脈硬化巣において、IL-6の発現の上昇があることが報告されている。しかしながら、動脈硬化巣の病変の形成における、IL-6シグナルとその制御系の関与については不明な点が多い。本研究の目的は、動脈硬化の発症進展におけるIIL-6シグナルとその制御因子SOCS3の役割を明らかにし、マクロファージ内のSOCS3の発現抑制が動脈硬化の新たな治療となりうるかを検討することである。 1.コントロールでは、STAT3の活性化は認められなかったが、ApoE-KOにおいてSTAT3のりん酸化が認められた。りん酸化STAT3の免疫染色の結果、STAT3は主にマクロファージや内皮細胞で活性化されていた。特に、プラークの内腔側のマクロファージにおいてSTAT3のりん酸化が顕著であった。 2.RT-PCRの結果、ApoE-KOの動脈硬化巣においてのみIL-6とOSMおよびSOCS3の発現を認めた。これらの結果は、動脈硬化巣において、IL-6やOSMなどのgp130サイトカインによってJAK/STAT経路が活性化され、一方で、JAK/STAT経路の活性化がSOCS3によって負に調節されていることを示している。 3.次に、培養マクロファージの泡沫化に対するIL-6の効果を検討したところ、酸化LDLの取り込みはIL-6投与により有意に増加することが明らかとなった。このように、IL-6はJAK/STAT経路を活性化することによって酸化LDLの取り込みを促進し、動脈硬化の病変の形成に関与していることが示された。今後、ApoE-KOとSOCS3-KOのダブルKOマウスの解析により、成体レベルで動脈硬化におけるIL6シグナルとSOCS3の役割が明らかにできるであろう。
|
Research Products
(3 results)