2005 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化の発症進展におけるシグナル制御因子SOCS3の役割の解明と治療への応用
Project/Area Number |
16590723
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
安川 秀雄 久留米大学, 循環器病研究所, 講師 (60289361)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今泉 勉 久留米大学, 医学部, 教授 (60148947)
甲斐 久史 久留米大学, 医学部, 助教授 (60281531)
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Keywords | 動脈硬化 / マクロファージ / SOCS / STAT3 / インターロイキン6 |
Research Abstract |
ApoE欠損マウスに7週齢から高脂肪食を負荷し動脈硬化モデルとした。負荷7週間後に上行大動脈を回収し、ウエスタンブロットと免疫染色によってMAPキナーゼ、AKTやSTAT3のりん酸化を検討し動脈硬化巣における細胞内シグナルの活性化を評価した。コントロールでは、STAT3の活性化は認めなかったが、ApoE欠損マウスにおいてSTAT3のりん酸化が認められた。りん酸化STAT3の免疫染色の結果、STAT3は主にマクロファージや内皮細胞で活性化されていた。プラークの内腔側のマクロファージにおいてSTAT3のりん酸化が顕著であった。次にSTAT3を活性化するサイトカインの発現を調べるためにIL-6、IL-10、LIF (leukemia inhibitory factor)、OSM (oncostatin M)のRT-PCRを行った。一方、サイトカインシグナルの負の制御因子であるSOCSファミリーの発現もRT-PCRで検討した。ApoE欠損マウスの動脈硬化巣においてのみIL-6とOSMおよびSOCS3の発現を認めた。これらの結果は、動脈硬化巣の病変において、IL-6やOSMなどのgp130サイトカインによってJAK/STAT3経路が活性化され、一方で、JAK/STAT3経路の活性化がSOCS3によって負に調節されていることを示唆している。次に、マクロファージの泡沫化に対するIL-6の効果を検討したところ、酸化LDLの取り込みはIL-6投与により有意に増加することが明らかとなった。このように、IL-6はJAK/STAT3経路を活性化することによって酸化LDLの取り込みを促進し、動脈硬化の病変の形成に関与していることが示唆された。次にApoE欠損マウスとマクロファージ特異的SOCS3欠損マウスのダブルノックアウトマウスを作製し、動脈硬化の進展におけるマクロファージSOCS3欠失の影響について検討した。いまだnは少ないがダブルノックアウトマウスでは動脈硬化の進展が抑制されている傾向が認められた。
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