2005 Fiscal Year Annual Research Report
細胞骨格系蛋白質異常に基づく心筋症・心不全発症機構の解明
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16590726
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
岩田 裕子 国立循環器病センター(研究所), 循環分子生理部, 室長 (80171908)
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Keywords | Na^+ / H^+トランスポーター / 筋ジストロフィー / イオン代謝異常 |
Research Abstract |
本年度は筋変性における種々のイオン代謝異常を調べ、Na^+/H^+トランスポーター(NHE)の阻害薬が筋変性改善効果を示すことを見出し、そのメカニズムを解析した。 1)NHE阻害剤の筋ジストロフィー(筋ジス)治療効果の検討----細胞骨格系蛋白質欠損で筋ジスを発症するもでる動物BIO14.6ハムスター、mdxマウスにNHE阻害剤投与後14日めに血中クレアチンキナーゼ(CK)を測定した。非投与群に比べて投与群では血中CK活性の有意な減少と組織HE染色で観察される筋変性の減弱が認められ改善効果が示された。2)筋ジス筋細胞におけるNHE活性の亢進---細胞内Na^+濃度に影響を及ぼす可能性のある膜蛋白質、NHEおよびNa^+/Ca^<2+>交換体(NCX)は正常と筋ジス筋で量及び局在に変化なかった。正常及び筋ジス筋細胞への全Na^+取り込みの大部分(65%以上)がNHEの特異的阻害剤で抑制されたことより筋細胞におけるNa^+流入にNHEの寄与が大きいこと、そしてNHEを介する流入が筋ジス筋細胞で上昇してることが判明した。さらに細胞内Na^+濃度、細胞内pHの上昇、NHE活性の細胞内pH依存性のアルカリシフトなどにより筋ジス筋細胞で有意にNHE活性が上昇していることが判明した。筋ジス筋細胞では外液Ca^<2+>濃度を上げるとCa^<2+>流入の上昇が観察されるが、NHE阻害剤処理で抑制された。NHE阻害剤前処理では伸展刺激による筋ジス筋細胞からのCKの漏出も抑制された。 細胞骨格系蛋白質欠損による筋ジス筋細胞はストレッチ感受性Caチャネル(TRPV2)の膜発現が亢進しているだけでなくNHEも活性化されNa^+濃度が上昇していることが新たに明らかになった。Na^+濃度の上昇がNCXの機能低下を引き起こし、細胞内Ca^<2+>濃度上昇につながると考えられる。
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Research Products
(3 results)