2004 Fiscal Year Annual Research Report
COPDにおける血管内皮前駆細胞の役割の解明とその制御による肺血管再生治療
Project/Area Number |
16590736
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
笠原 靖紀 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助手 (60343092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
巽 浩一郎 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (10207061)
栗山 喬之 千葉大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20009723)
関 直彦 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (50345013)
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Keywords | COPD / VEGF / 喫煙 / 血管内皮前駆細胞 / 肺気腫 / 骨髄 |
Research Abstract |
Vascular endothelial growth factor (VEGF)は血管内皮細胞の成長に特異的な増殖因子であり、肺で多量に発現されている。人間の肺組織を用いた検討からCOPD患者の肺では正常肺と比べ、VEGFおよびVEGFR-2の発現が低下していた。VEGF受容体(VEGFR-2)キナーゼ特異的阻害薬をラットに慢性投与したところ、血管内皮細胞や肺胞上皮細胞にアポトーシスを認め、肺胞腔の拡大(肺気腫性変化)が観察された。VEGFR-2阻害薬投与ラットは肺動脈影の減少を認めた。そこでマウスに喫煙曝露をおこない、喫煙が肺でのVEGFの発現を低下するか調べた。AKR/Jマウスに1日20本、週5日、6ヶ月間、喫煙曝露すると、肺胞腔は拡大して気腫化を認めた。ELISAで測定した肺組織のVEGF蛋白濃度は喫煙曝露群ではコントロール群と比べて、急性期には一過性に増加してその後減少していた。次に喫煙が骨髄や末梢血中の血管内皮前駆細胞におよぼす影響を調べた。C57BL/6Jマウスの骨髄細胞および末梢血単核球分画をFACSを用いてSca-1(Stem cell antigen-1)とVEGFR-2で標識して陽性細胞を測定した。2週間の急性喫煙曝露群では、骨髄で両者に陽性である血管内皮前駆細胞(EPC)を含む細胞分画が増加していた。6ヶ月間の慢性曝露では骨髄でのEPCは減少していた。VEGFとFPCの変化に相関を認めた。急性期では喫煙曝露により血管内皮障害がおこり、血管内皮細胞の需要が高まり、代償的に骨髄ではEPCが増加するが、慢性期には、骨髄でのEPCの産生が疲弊している可能性が考えられた。喫煙によってVEGF系シグナルが低下して肺血管傷害がおきると、EPCが血管の修復をきちんとできず、正常な肺構造を維持できなくなる可能性が考えられた。
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