2004 Fiscal Year Annual Research Report
DNAオリゴによる転写制御を介したサイトカイン産生抑制、気管支喘息治療の試み
Project/Area Number |
16590759
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
中村 豊 岩手医科大学, 医学部, 助手 (60328614)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 広平 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (20200579)
井上 洋西 岩手医科大学, 医学部, 教授 (40133962)
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Keywords | 気管支喘息 / 遺伝子治療 / decoy oligodeoxynucleotides / 転写因子 / GATA-3 / IL-5 / 好酸球 / CD3陽性Tリンパ球 |
Research Abstract |
ヒト末梢血よりCD3陽性Tリンパ球を分離培養し、GATA-3 decoy oligoをtransfectionさせた。4時間後にCD3とCD28とで刺激し、さらに24時間後にリンパ球とその培養上清との検討を行なった。GATA-3 decoy oligoをtransfectionさせた群(D群)はoligoをtransfectionしていないcontrol群(C群)に比しIL-5 promoter部とのbinding activityが有意に低下していた(EMSA)。さらに、リンパ球内に発現しているIL-5 mRNAと培養上清中のIL-5タンパク濃度については、D群がC群に比し低下していた(RT-PCR, ELISA)。他のサイトカインIL-4,IL-10,IL-13,GM-CSF, IFN-gammaについては有意な変化は認められなかった。以上よりGATA-3 decoy oligoは特異的に、その転写レベルでIL-5産生を抑制することが判明した。さらに、好酸球への作用を確認するためにmigration assayを行なった。上下2重になった培養皿の上の皿には好酸球を播種し、下の皿にはdecoyをtransfectionしたCD3陽性リンパ球かあるいはoligo decoyをtransfectionしないCD3陽性リンパ球を播種しCD3とCD28で刺激したところdecoy transfection群はtransfectionしていない群に比し有意に好酸球の浸潤を抑制した。以上より、GATA-3 decoy oligoはIL-5産生抑制効果をもち、さらにその働きを介して好酸球の浸潤抑制効果をもつことがin vitro系で証明された。次に、次年度に行なう予定であるマウスを用いたGATA-3 decoy oligoの応用を鑑み、decoy oligoの細胞内でnucleaseに対する安定性を証明した。すなわち、decoyを直鎖状にしたlinear formとannealed formとリボンの形にしたもの(R群)をCD3陽性Tリンパ球にtransfectionさせ、IL-5発現抑制効果を経時的に比較検討した。培養5日においてR群では他群に比し、有意にIL-5産生抑制効果が認められた。以上よりdecoy oligoをリボンの形にして、nucleaseによるoligo decoyの分解に対して抵抗性を持たせることにより比較的長期間に渡りIL-5産生抑制効果が保持でき得ることが証明された。 以上の研究内容の要旨は2005年3月、米国テキサス州サンアントニオで開催された61th Annual Meeting, American Academy of Allergy, Asthma and Immunology (AAAAI)で口演発表を行なった。
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