2005 Fiscal Year Annual Research Report
進行性腎障害における抗酸化酵素の発現制御機構の解明
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16590773
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
今田 恒夫 山形大学, 医学部, 講師 (60333952)
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Keywords | kidney / aldose reductase / aldehyde reductase / oxidative stress |
Research Abstract |
1.進行性腎障害モデルである5/6腎摘ラットにおいて、還元酵素であるaldose reductaseとaldehyde reductaseの発現について、免疫染色、ウェスタンブロット法にて検討した。aldose reductaseはsham群では主に髄質に発現しており、皮質では遠位尿細管、糸球体上皮細胞に軽度発現していた。腎摘群では髄質での発現は週数とともに増加しており、皮質では拡張尿細管の上皮細胞や糸球体内細胞での発現が増加していた。一方aldehyde reductaseはsham群では近位尿細管上皮のみに軽度発現し、腎摘群では同部位での発現が週数とともに増加していた。aldose reductaseとaldehyde reductaseは腎障害による酸化ストレス等に反応して発現が増加している可能性がある。 2.培養尿細管細胞において、酸化ストレスがこれらの抗酸化酵素の発現に与える影響について検討した。培養尿細管細胞では、過酸化水素やアンジオテンシンII処理により細胞内情報伝達経路MAPKinaseの活性化とともに、aldose reductase、aldehyde reductaseの発現が増加していた。これらの結果から、抗酸化酵素発現は様々な刺激により調節されている可能性が示唆された。 3.血管病変発生への関与が報告されているチオレドキシン還元酵素、ペルオキシレドキシンI、ペルオキシレドキシンVIなどの抗酸化酵素について同モデルの腎組織での発現を免疫組織学的に検討したところ、抗酸化酵素によって発現部位が異なり、腎障害進行によって異なる発現パターンを示した。これらのことから、多くの抗酸化酵素が腎不全の進行に関与し、それぞれ異なった役割を担っていることが予想された。
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