2005 Fiscal Year Annual Research Report
腎臓形成必須遺伝子Sall1の腎臓糸球体における機能解析
Project/Area Number |
16590777
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
西中村 隆一 熊本大学, 発生医学研究センター, 教授 (70291309)
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Keywords | Sall1 / 腎臓発生 / ノックアウトマウス / podocyte / 糸球体 |
Research Abstract |
Sall(spalt)はショウジョウバエからヒトまで保存されたZincフィンガー蛋白である。我々はカエルの試験管内腎臓誘導系からSall1を単離し、さらにSall1のノックアウトマウスが腎臓を完全に欠損することを見いだした。この研究の過程でSall1は後腎間葉だけでなく、それから派生する糸球体のpodocyteにも強い発現が認められることを見いだした。podocyteは糸球体血管壁の基底膜上に無数の足突起を形成し、それが糸球体において血液から尿がろ過される際、分子篩いとして働くことが判明している。本研究ではpodocyte特異的なSall1ノックアウトマウスを作成することによって、podocyteの分化における分子機構を明らかにすることを目的とした。具体的には、Sall1のexon 1をはさむようにlox P siteを導入したES細胞を作成し、キメラマウスを経てヘテロマウスを作成した(Floxマウス)。これがホモの状態で健康であること、全身でCreを発現するマウスとの交配によってlox P siteの組み替えがおこりexon 1が欠失すること、さらにこの状態でホモにしたときにはSall1を欠失し腎臓を欠損することを確認した。このFloxマウスと、podocyte特異的にCreを発現するマウス(nephrinあるいはpodocin promoter Cre)との交配を行なった。しかし、完成したマウスには蛋白尿はみられず、糸球体を含む腎臓構造に異常は認められなかったため、Sall1はpodocyteの発生には必須ではないことが明らかになった。今後はFloxマウスと他のCreマウスを交配させ、成体腎臓や他臓器でSall1を欠失させることで、Sall1の機能に迫りたいと考えている。
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