2005 Fiscal Year Annual Research Report
プロテオミクス研究手法をもちいた腎疾患特異的尿蛋白の同定と臨床応用
Project/Area Number |
16590781
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
坂爪 実 新潟大学, 医歯学総合病院, 助手 (70334662)
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Keywords | 尿蛋白 / プロテオミクス / 尿中免疫細胞 / 腎疾患病態分類 / MALDI-TOF MS / 質量分析 |
Research Abstract |
本研究の目的は、尿検体を用いた新しい非侵襲的腎疾患診断法を確立することである。本年度の研究成果は、1)腎疾患病態の5型分類:昨年度に引き続き腎疾患患者の尿検体を有形細胞分析(フローサイトメトリーによる赤血球形態・白血球表面マーカー解析)、高感度検出システムを用いた尿蛋白泳動分画解析と腎生検所見から腎疾患病態を分類・整理した。その一部を特許出願し、現在JSTの支援を得て海外特許出願を行った。2)尿蛋白のプロテオミクス分析:尿蛋白分画電気泳動において、疾患特異的なパターンをAlpha1分画に確認し、尿中の蛋白分解酵素濃度との関連性を検討(Machii R)、dominantに検出された分画をMALDI-TOF型質量分析装置を用いて解析した。3)DNA chipを用いた腎炎モデルの発現遺伝子プロファイリングと腎炎特異的発現遺伝子を同定:発現遺伝子プロファイリングの結果から、腎炎特異的発現遺伝子を3つ同定した。糸球体での発現部位をin situ hybridizationと免疫組織化学により確認し、バイオマーカーとしての応用性について検討している(Ogawa A, Tsubata Y)。また発現遺伝子の1つは、腎疾患病態形成に関わる炎症因子(メタロプロテアーゼ-12; MMP-12)であることが分かり、尿中MMP-12を腎炎特異的な指標としての診療への応用の可能性を検討した。すなわちMMP-12を活動性マーカーとして、その発現を制御する因子を見出し、ペルオキシゾーム増殖活性化受容体(PPAR)-αのリガンドであるフィブレートの新たな腎炎治療薬としての応用性を検討した(Saga D)。以上のように本研究プロジェクトにより、非侵襲的腎疾患診断法の確立から、尿蛋白バイオマーカーの発見、治療法のスクリーニング手段としての応用など、幅広い研究成果を得ることができた。
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Research Products
(7 results)