Research Abstract |
われわれは,すでに平成16年度中に,残腎機能のない長期透析患者において,血清FGF23濃度がきわめて高値を示し,その値によって将来の重篤な二次性副甲状腺機能亢進症の発症や静注ビタミンD治療に対する反応性が予測できることを報告した.さらに本年度は,このFGF23の産生部位が副甲状腺ではなく,骨であることを証明し,この産生がビタミンD治療によってさらに増加することを示した. 一方,腎不全では骨の副甲状腺ホルモン(PTH)に対する抵抗性が生じていることが知られているが,その本態はほとんど解明されていない.われわれは副甲状腺摘除と部分腎摘を組み合せたモデルラットを作製して解析したところ,腎機能低下の程度に応じて,PTHに対する骨芽細胞の反応が低下しており,これはすでに臨床で尿毒素吸着目的で使われている活性炭の経口投与によって改善していることを発見した.これらの異常とその改善は,血中のインドキシル硫酸の濃度に比例していたため,さらに培養骨芽細胞を用いた検討を行い,インドキシル硫酸が,細胞膜に存在する有機酸トランスポーターを介して骨芽細胞内に入り,PTH受容体低下,PTH反応性cAMP産生低下,および酸化ストレスを生ずることを明らかにした.さらに,破骨細胞の誘導を抑制する分子であるosteoprotegerinについて透析患者で検討したところ,ビタミンD治療によって低下する誘導体とそうでない誘導体があることがわかり,ビタミンD治療による副甲状腺機能抑制と骨回転の抑制が乖離する病態を説明可能ではないかと考えられた.
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