2004 Fiscal Year Annual Research Report
急速進行性糸球体腎炎におけるCYR61の発現と機能解明の検討
Project/Area Number |
16590792
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
江田 幸政 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (20332885)
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Keywords | CYR61 / 急速進行性糸球体腎炎 / 慢性糸球体腎炎 |
Research Abstract |
初めに、実際のヒト糸球体腎炎において、CYR61が本当に発現して、何らかの関与を行っているのか確認するために、免疫組織化学的な検討とRT-PCRによるmRNA発現確認を行った。 まずヒトのCYR61に対する抗体が3種類入手可能であったので購入し、ヒト半月体形成性糸球体腎炎の腎生検組織で免疫染色を行った。染色の結果、RPGN症例19症例中6例で陽性所見が得られた。うち4例は半月体が染色され、2例で尿細管が染色された。対照として用いたIgA腎症や他の腎炎では糸球体は染色されず、2例で尿細管のみが軽度染色された。ヒト半月体形成性糸球体腎炎の細胞性半月体のような活動性の強い部位にCYR61の染色が確認されたため、疾患の発症や進展、修復過程に何らかの関与があるものと示唆された。 免疫染色では交差反応による非特異的染色の可能性を除外できないため、CYR61のmRNAを実際の腎組織から検出可能か検討した。腎生検組織の凍結標本を薄切し、その一部から速やかにRNAを抽出した。この微量のRNAを用いてRT-PCRを行った。免疫染色で陽性所見が見られた2例と、他の原発性糸球体疾患4症例からRNAを抽出し、CYR61とMDHの検出を行った。6例中2例でCYR61のmRNAの検出が通常のPCRで可能であった。バンドのサイズも予想される大きさであり、CYR61が腎炎の組織で実際に測定可能なレベルで産生されていることが確認された。ただ、凍結標本の作成状況によって抽出されたRNAの質にむらがあり、定量的な測定を行う方法を検討する必要を迫られた。現在ヒト腎組織からRNAの抽出を行い、また定量的なPCRの条件検討中である。 動物の急速進行性糸球体腎炎についてはまだ作成できず、薬剤による糸球体障害を惹起する予定である。
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Research Products
(1 results)