2006 Fiscal Year Annual Research Report
血栓性微小血管障害症での高度腎機能障害の成因としてのADAMTS-13解析
Project/Area Number |
16590796
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
松本 雅則 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (60316081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤村 吉博 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (80118033)
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Keywords | TMA / ADAMTS13 / 腎機能障害 |
Research Abstract |
血栓性微小血管障害症(TMA)には神経症状優位のTTPと腎症状優位のHUSがあり、臨床症状だけでは両者を鑑別出来ない場合も多い。2001年に、止血因子であるvon Willebrand因子(VWF)を特異的に切断するVWF切断酵素(別名ADAMTS13)が発見され、定型的TTPでは同酵素活性が著減しているが、HUSではこのような所見は殆ど見られないことから、両者を客観的に鑑別できる指標として有用であることが判明した。 当ラボは、19981ドからADAMTS13活性測定を開始し、日本国内のTMA解析センターとしての役割を果たしてきた。2006年12月末段階で集積したTMA患者は786例となった。これらの中でADAMTES13話性が3%未満に著減している症例は261例で全体の33%に過ぎず、残りの2/3の症例はADAMTS13以外の機序が予想されている。欧米ではこのような症例でFactor H(FH). factor I. MCPなどの補体調節因子の異常が報告されている、しかし、本邦ではこれらの報告は皆無である。 本研究では高度腎機能障害を合併したTMA症例を中心に解析した。これらの症例は後天性HUSもしくは膠原病合併TMAに多く認められ、ADAMTS13活性の著減例は認めなかった。そこで、ポリクローナル抗体を用いてFHの抗原解析を行ったが抗原欠損例は1例もなく、全例軽度の低下にとどまった。先天性が疑われるHUS1家系で、倫理委員会許可後にFHの遺伝子解析を行ったが、責任遺伝子の同定はできなかった。 高度腎障害を合併するTMA症例は、臨床的にHUSと診断され、また膠原病、特に強皮症に合併したTMAに多く認められた。これらの症例では、ADAMTS13著減例は存在せず、他の病因によって発症していると考えられた。
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Research Products
(6 results)