2005 Fiscal Year Annual Research Report
腎不全における異所性臓器石灰化に及ぼす副甲状腺機能異常とその修飾の意義
Project/Area Number |
16590797
|
Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
秋澤 忠男 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40102339)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
緒方 浩顕 昭和大学, 医学部, 講師 (30296959)
根木 茂雄 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (20208284)
|
Keywords | 慢性腎不全 / 2次性副甲状腺機能亢進症 / 異所性石灰化 / 血管石灰化 / 動脈硬化 / リン吸着薬 / ビタミンD / calcimimetics |
Research Abstract |
高リン、低カルシウム食負荷5/6腎摘慢性腎不全ラットモデルにおいて、大動脈血管石灰化を指標に血清カルシウム、リン、副甲状腺機能とその制御の影響を検討した。 その結果高リン血症はリン負荷量に応じて大動脈に著明な石灰化を誘発し、その過程で血管平滑筋細胞はcore binding factor-alpha 1(Cbfa1)やosteopontin (OPN)などを発現する骨芽細胞様細胞に形質転換を遂げた。また、この骨芽細胞様細胞はsodium-dependent phosphate cotransporter (Pit-1)などのリン輸送タンパクを発現し、これらのtransporterを介して細胞内にリンが取りこまれ、それが血管石灰化に誘導されることが示された。こうした石灰化は2次性副甲状腺機能亢進症の程度にも依存し、2次性副甲状腺機能亢進症の重篤化に伴い石灰化部位は増加した。活性型ビタミンD投与によるカルシウム負荷も石灰化を促進し、Cbfa1やOPNの発現を増強させた。リン吸着薬の投与と血清リン濃度の低下は石灰化を抑制したが、カルシウムを含まないリン吸着薬投与時にその効果はより高度であった。Calcimimetics投与により2次性副甲状腺機能亢進症は著明に抑制され、高リン、高カルシウム血症にも改善がみられ、これらは異所性石灰化の減少につながった。 以上から慢性腎不全に伴う異所性血管石灰化には、1)副甲状腺機能亢進症の程度、2)リン負荷、3)高カルシウム血症などが複雑に関与し、これらは食事中のリン・カルシウム量、リン吸着薬、活性型ビタミンD、calcimimeticsなどの投与により制御できる可能性が示された。
|
Research Products
(7 results)