2004 Fiscal Year Annual Research Report
腎臓におけるCOX2、プロスタグランジンE2,F2αの相互調整機序の検討
Project/Area Number |
16590798
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
斎藤 修 自治医科大学, 医学部, 助手 (10285778)
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Keywords | ブロスタグランジンF2α / Fp受容体 |
Research Abstract |
<背景>抗炎症薬としてCOX2阻害薬は消化性潰瘍の発生頻度が低いため有用とされているが、高齢者における間質性腎症発症率の増加が報告されている。しかし、その発症機序は明らかではなく腎臓におけるCOX2の果たす役割は不明な点が多い。本研究ではCOX2により産生されるプロスタグランジンF2α(PGF2α)の受容体Fp receptorについて腎臓における発現部位・生理作用を検討した。 <方法>既知であるmouse Fp receptor塩基配列を参考にして、rabbit Fp receptor塩基配列クローニングした。この塩基配列を用いてIn situ hybridizationを行って、rabbitの腎臓における局在を明らかにした。また、rabbitにより単離した皮質集合尿細管(CCD)を用いて、micro perfusionを行い、電位および水透過性の変化を確認した。 <結果>In situ hybridizationにてrabbitのFp receptor mRNAはmouseと同様に皮質集合尿細管(CCD)に有意に発現していた。Micro perfusionではPGF2αを血管側、尿細管側いずれからも投与し検討したが経尿細管上皮の電位差はいずれも有意な変化を認めなかった。このため、次にバソプレッシンの水再吸収作用に対する影響を検討した。結果、PGF2αはバソプレッシンによるCCDの水再吸収を血管側から抑制した。この変化はGi蛋白阻害薬であるpertussis toxinで抑制された。 <結論>皮質集合尿細管にはFp receptorが存在する。プロスタグランジンE2の受容体であるEp receptorはナトリウム再吸収に関与していることが知られているが、Fp receptorはナトリウム再吸収には関与せず、バソプレッシンの水再吸収作用のみを抑制した。そしてその作用はGi蛋白を介することが示唆された。
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